高校選手権2回戦 浜松開誠館×長崎総科大付属(NACK5)


 2019年の始まり。
 例年選手権では近場の会場に行くのだが、今回は神奈川の桐光が大晦日に負けてしまい、三ツ沢、等々力、駒沢といった普段観に行くような会場もこれといったカードが無かったのでどうしようかと思案した結果、静岡勢で初出場の浜松開誠館と長崎総科大付属というなかなか良いカード、かつ隣に武蔵国一宮である氷川神社がある、という理由で大宮まで行くことにした。思えば選手権で埼玉まで行くのは初めて。

 このスタジアムも久々なので、今まであまり行ったことの無いメインスタンドに行くことにした。今日の両チーム、まず浜松開誠館は初出場だがこの10年で現清水の竹内、松原を輩出するなど一定の実績を残してきた中で今季ついに選手権の予選突破を果たしたチーム、そして長崎総科大付属は小嶺氏が監督を務める長崎の新たな盟主。余談だが、選手権に出るチームというのはその高校史上最高クラスのタレントが在籍時は出れずに、その選手が卒業した後に出場というパターンが多い気がする。古くは清商の小野伸二が選手権に出れずに卒業した直後に出場したりとか、今年で言うならこの浜松開誠館や鹿島の安部の出身校である瀬戸内が初出場したりとか。

 試合は序盤は長崎総科大付属がロングボール中心に押し気味に試合を進めたが、前半中盤以降は浜松開誠館が押し返して一度決定機を作るなど対抗していた。長崎総科大付属のユニはアウェイ用の白黒縦縞だったが、そのデザインが国見のアウェイそのままだったのはやはり監督の意向があるのだろうか(笑)このチームには今季C大阪U18から移ってきたMF鈴木(17年U17W杯出場)がいたのだがキャプテンマークを巻いていたのには驚いた。中学でJユース、高校で高体連というのはこれまでもよくあるパターンだったが、ここ数年Jユースのタレントが高校の途中で高体連に移るパターンが増えてきた気がする。神谷優太(東京Vユースから高2途中に青森山田高)とか中村駿太(柏U18から高3時に青森山田高)とか。まぁチームスポーツである以上自分に合う/合わないというのはあると思うし、合わないなと思ったらより自分がより活きる(であろう)チームに移れる選択肢があるのは良いことだと思う。鈴木は坊主という見た目もそうだが、小柄ながら当たり負けしないテクニシャンという点で昔国見で活躍した大久保嘉人中村北斗らを彷彿とさせて、まるでずっとこのチームにいるようだった。

 前半は0-0、後半も膠着状態が続いたが、後半半ば過ぎに長崎総科大付属が右サイドからのクロスを合わせて先制し、その1点を守り切って勝ち抜いた。やはり小嶺監督のチームというか他の日本のチームに無いヘディング慣れは感じたな。先制点の様なクロスに合わせる場合でも、ルーズボールの競り合いでも頭に当てる時はジャンプしきった最高到達点で、姿勢も顎を引いてしっかりコントロール出来る体勢なのでほぼ競り勝っていた。普段からの練習が、相手の攻撃を撥ね返すだけで無く、攻撃でも今日のような得点に結び付くんだなぁと実感。
 開誠館は前半半ばから終わりまでの攻勢を後半に維持できなかった。個々で見ると右サイドに張っていた11番が逆脚の左足で突破してチャンスメイクしたり面白いタレントだったが、最後フィニッシュする選手がいなかったかな。これで静岡勢は4年連続初戦敗退らしいが、かつてほど人材の質で他の都道府県に優位性を保てない中で、限られた人材が多くのユースや高校に分散される以上、こうした傾向は今後も続くのだろうと思う。

 試合後は氷川神社まで歩いて参拝。

元日は横浜の伊勢山皇大神宮に初詣したので今日は二番詣(という言葉があるかは知らない)だったが、それほど混まず参拝出来た。帰りは大宮公園駅から大宮駅に戻り、湘南新宿ラインで帰宅。 

2018年観戦振り返り

 これも年末恒例だが、今年の観戦を振り返っておく。明日高校サッカーに行くかもしれないが、今日時点で観戦数は去年から5試合減の39試合。マリノス戦がやはりメインとなり、それ以外で空いた日程でフラッと観に行くこともあるが、長期的にそういう機会は減りつつある。DAZNがあるので観たい試合はそれで良いかという話でもあるし。また振り返って気付いたが、今年等々力に行ったのは正月の選手権だけでJでは一度も行かなかった。これは04年以来のこと。日産や三ツ沢を除いて一番近いスタジアムでもあり、以前はマリノス戦やマリノスの日程が被らない時によく行っていたものだが、今季の川崎のホーム戦は完売が続いており、行こうと思っても完売ということが多かった。増築計画もあるようだが早くて竣工は5年後になるだろうし、来季以降も行く機会は選手権とかに限られそうだな。

■ベストゲーム

1位:横浜M1-1川崎(2018/4/4 J1第6節@日産)
2位:横浜M3-0鹿島(2018/4/28 J1第11節@日産)
3位:浦和3-1鹿島(2018/10/20 J1第30節@埼スタ
4位:FC CASA1(4PK5)1品川CC(2018/11/4 関東社会人サッカー大会2回戦@赤羽スポーツの森公園)
5位:横浜M4-2神戸(2018/6/2 ルヴァン杯PO@三ツ沢)

 観戦39試合中28試合がマリノス戦になるのだが、「リーグ上位相手に内容、結果共に完勝」というような試合が今年は少なかった。全体的には序盤はノーガードの打ち合いで得点失点共に多く、中盤以降は失点は減ったがゴールも減って逆転負け、競り負けの試合が増えていった。その中でベストを挙げるなら引き分けながら川崎相手に一定のクオリティを見せた試合かな。前半は川崎に何度も決定機を作られたが、終盤は逆にマリノスが何度もチャンスを作ってどちらが勝ってもおかしくなかった。また齋藤学が日産に登場し、場内に響くブーイングもまた試合を盛り上げる要素になったかな。2位はGW序盤に鹿島に3-0という試合。スコアほど内容に差は無かったのだが、今季のリーグ一桁順位9チームに対し、リーグ戦で2点差以上付けて勝ったのはこの試合だけ。後述するが天野のFKもレベルが高かった。3位はマリノス戦以外から、ルヴァン決勝の前週に埼スタで行われた試合。この赤い2チームはお互い敵視してるのが伝わってくるけど、決して陰湿でなく、拳で正々堂々と勝負付けようぜという“陽”のエネルギーを感じる。4万以上入った埼スタという舞台や試合のクオリティもまた高かった。4位は友人チームの試合で、今年は3試合観に行った中で、相手チームも含めスタンドが盛り上がってPK戦勝利という結果から。西が丘に行くのに赤羽ルートを開拓するという思わぬ副産物もあった(笑)最後はルヴァンプレーオフの神戸戦。同じ大量得点の試合でもホーム湘南戦(4-4)やホーム長崎戦(5-2)は大味というかあまりに簡単に失点する守備に多少白けた面はあったが、この試合は相手にセットプレーから2失点こそしたが締まった試合だったように思う。

■ベストゴール

1位:仲川のドリブルゴール(2018/9/29 J1第28節横浜M5-2仙台@三ツ沢)
2位:杉岡のミドル(2018/10/27 ルヴァン杯決勝 湘南1-0横浜M埼スタ
3位:武藤のミドル(2018/10/20 J1第30節浦和3-1鹿島@埼スタ
4位:天野のFK(2018/4/29 J1第32節横浜M3-0鹿島@日産)
5位:藤本のロングシュート(2018/5/12 J1第14節横浜M1-1G大阪@日産)

 この為に今年のゴールを見返したが(Jや各クラブがYouTubeにゴール動画を上げてくれているのは助かる)、終盤に前掛かりになった相手にカウンターからドリブルで決めたゴールが結構多かった。6/2ルヴァン杯プレーオフでウーゴが決めたゴールとか、10/20浦和×鹿島のATでの武藤など。その中でドリブルゴールという点では、9月の月間ベストゴールにも選ばれた仲川のゴールが素晴らしかったのでこれを1位に。雨で滑りやすいピッチを上手く利用した点でもGood。
 2位はルヴァン杯決勝での杉岡のゴール。やはり決勝という大舞台で優勝を決める一撃というのは価値がある。3位は上で挙げた鹿島戦での武藤のもう1つのゴール。ATのゴールも素晴らしかったが、エリア外から距離がある中で低目のミドルを突き刺したインパクトで。4位は直接FK枠と言うことで同じ天野のガンバ戦で決めたゴールやルヴァン杯GLで扇原が決めたブレ球キックもある中で、ベストゲームの項で挙げた鹿島戦でここしか無いという場所に決めた精度で。最後は飯倉チャレンジ枠なのだが(苦笑)、湘南や磐田など今季序盤に様々なチームがマリノス戦でロングシュートを決めた中で、自陣から正確にゴールネットを揺らした藤本の左足の精度を評価。

■ベスト遠征

1位:鳥栖2-1横浜M(2018/11/24 J1第33節@ベアスタ)
2位:北九州0-1群馬(2018/4/29 J3第8節@ミクスタ)
3位:清水0-1横浜M(2018/3/31 J1第5節@日本平
4位:京都1-0山形(2018/8/4 J2第27節@西京極)

 ここで言う遠征とは首都圏(一都三県)以外での観戦を指し、マリノス戦に限らない。合計4試合なので全て順位付けしてしまうと、1位は前日に友人に鹿児島を色々案内して貰い、翌日もベアスタや太宰府、福岡を周った11月の試合。天気にも恵まれたし、良い旅だった。2位はGWに行った初ミクスタで、試合のレベルはさておき、小倉駅から徒歩10分弱という近さや目の前が海という立地、そして試合後にホテルにチェックインした後でも下関を観光出来る関門エリアの近さも込みで。3位は去年に続いて行った日本平だが、去年に比べて少し旅程が慌ただしかったのでこの順位。最後、8月の西京極の試合はお初の上賀茂神社とか京都観光出来たのは良かったのだが、暑すぎたのとサンダルで行ったら途中で足裏のマメが潰れてかなり痛かったのでそこがマイナス(笑)

 来季の未踏スタジアム制覇は岡山のカンスタ、沖縄辺りが目標になるかな。レノファのスタジアムも未踏だが山口県は今年行ったばかりで、金沢も一昨年の夏行ったしなぁ。松本が昇格したからアルウィンもまたJ1で行けることになるが、前回は長野善光寺経由で松本城を見つつ最後は雄大南アルプスの夕景をバックに試合開始という旅で、もうあれ以上の経験は出来ない気もする。また来季はラグビーW杯でかなり変則的なスタジアム運用になるだろうから、大分もW杯期間中に大銀ドームではなく市営陸上競技場を使うかもしれないのでそういうレア地を目標にしようか。まぁ全てはマリノス戦を始め日程次第なのだが。マリノス戦では日産が改修工事を終え、普段座っている場所も跳ね上げ式の座席に更新されるだろうから、スタジアム全体が深青で統一された光景と共に楽しみ。

年間表彰2018(後編)

 今日はMVPを発表。気が付けば09年に投票制を導入して今年で10年目になった。よく10年も続けたなと思うが、何だかんだ集計したり投票者の友人たちの選考やコメントを読むのが楽しいってのはある。後はこの選考を始めたきっかけにも通じるが、日本にはプロリーグの表彰はあっても協会主催の国内外の日本人選手対象の表彰は無いので、代わりにそれをやっているという自負もあるかな(笑)今年も39人に協力して貰ったのには感謝に堪えない。選考に際してコメントを書いてくれた場合、少なくとも一度は引用させて貰った。

【選考方法】
いつもと同じくベスト5を選んで貰い1位:5pt〜5位:1ptでポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。なおこのルールはベスト5のみ適用し、6位以下でポイントが同じ場合は全て同順位と扱う。
【過去の受賞者】

それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で表記。なお所属は2018年に在籍したクラブ
第5位
中島翔哉ポルティモネンセ):47pt
代表の新10番が5位。「ボールを貰う位置、トラップからのシュートまでの一連の流れを見るだけで、代表戦に行く価値があると思わせる選手」だが、常に笑顔で「『サッカー楽しい』とコーナーフラッグでリフティングしちゃう純朴さ」を見せるなど「ひたすらに真面目にとも、とにかく自信を持ってとも、違う。サッカーへの対し方がこれまでの日本人選手とは全く違う」「香川の後釜10番を任せられる」選手。
この選手は南野、堂安と並び称されることが多いが、今回の投票では他の2人を大きく引き離した。やはり「W杯前あたりからワクワクさせてくれる選手」で、「ポルトガルで年間通して活躍」したというのが大きかったか。新しい代表の中心として、年明けにまずアジアカップがあるが「南野、堂安との化学反応」かつ「来年は森保ジャパンの2列目トリオが(この投票の)1~3位を占めることを期待する」。

第4位
本田圭佑パチューカメルボルン・V):49pt
ロシアW杯での活躍、オーストラリアでの活躍、カンボジアでのチャレンジと、日本サッカー界に与えた影響は絶大」な「ケイスケホンダ」が4位。「セネガル戦の同点ゴールは鳥肌」物で、ベンチスタートが多くなっても「W杯三大会得点」し、「なんだかんだで活躍」するあの勝負強さは一体何なのか。「改めてメンタルの強さと運を引き寄せる力、それを支える努力を感じた」。「ベルギー戦の最後のコーナーはショートで良かったと思うが」、そのコーナーを取ったのは本田の無回転ミドルをクルトワがセーブしたからなのだが、キックの軌道が南アで決めたFKに少し似ていて、もう少し軌道に高低差があってクルトワの手前で落ちていればもしかしたら・・・

第3位
家長昭博(川崎):50pt
連覇の原動力」である今季のJリーグMVPが3位。「アシストやゴールという目立つ活躍はしてないですけど」、「アシストやアシスト・チャンスにつながる1つ前のプレーがとても多かった」という声があったように、この選手はJリーグアウォーズのMVP受賞スピーチでも自ら「平々凡々な成績」と言ったようにゴール、アシストで突出した数字を出した訳では無いのだが、試合中のさり気ないプレーや判断のセンスがずば抜けてる。「実際にプレーを見たのは夏休み広島戦アウェーだけだが、1人違う次元のプレーをしていた」らしい。あまりに平然とプレーするから何気なく見てしまうが、その数秒後に「実は今のプレー相当レベル高いんでは?」と気付いて背筋がゾクっとするような、そんな選手。そういう意味ではイニエスタに近いかな。「長く天才と言われ、このランキングに入れることができるチャンスは今年しかないかもれない」。そうそうアウォーズでサプライズのビデオメッセージがあったように、この選手と本田は全く同じ生年月日、同じレフティ、同じガンバジュニアユースという不思議な縁のある関係だが、今回の投票で本田49pt、家長50ptだったのはちょっと驚いたな。可能性としてはもうチャリティマッチなどになるかもしれないがまた2人が共演する試合を見てみたい。

第2位
大迫勇也(ケルン→ブレーメン):71pt
今年のこの選手はやはりまず「やっぱり流行語だし」「半端なかった!」「ハンパない!」「やっぱり半端なかった」「ハンパないっす。」というあのコロンビア戦のゴールが思い出されるが、忘れがちだが「W杯でまた夢が見られたのはあのPK奪取から」。また「ワールドカップでの活躍、そして新生日本代表の攻撃力を支えているのは紛れもなく大迫」、「森保ジャパンの2列目トリオが躍動できるのもこの人が最前線にいるから」という声があったように最前線の選手でありながら「周りを活かし、自分も活きるプレー」で、「日本に他に1トップを任せられる選手はいない」。あのポストプレーはもはや芸術の域。一方で簡単なシュートを外したり、「ブレーメンでは前線のマルチプレーヤーとして苦労している」。「もっとゴールへの貪欲さを見せて欲しい」という声もあった。

2018年日本最優秀選手
乾貴士(エイバル→ベティス):81pt

 今年のMVPはこの選手。やはりロシアW杯のインパクトは巨大で、「何といってもW杯での2得点が忘れられない!」、「W杯での2ゴール興奮した!」、「ワールドカップでのゴールは痺れた!」、「ベルギー戦のミドルが今年1番のハイライト」、「セネガル戦の同点ゴールは目の前でシビれた」という活躍により「我々を心の底から熱狂させ」、「W杯盛り上がったのは、やっぱりこの人の影響が大きい」。またプレー面では「小さくてもスピードとテクニックで通用することが証明された」、「時間を作るボールの持ち方は世界レベル」、「森保ジャパンで活躍する若手にとっても刺激になったんじゃないかな」というコメントもある一方で「10月にスペインで試合を観たときベンチ近くから挨拶してくれたので個人的な加点を含む」、「少年みたいな笑顔と、トーク力も評価したい」という評価要素もあったらしい(笑)
この選手はザック時代から代表には継続して選ばれていたけど、当時は同じセレッソ勢の香川や清武ほど存在感を示せずブラジルW杯も最終選考に漏れた。実は既に30歳だし「ようやく日の目を見た」選手。またW杯後は「ベティスでフィットできていないのが残念」だし、やはり「波の大きい選手」でもあるかな。MVPが81ptというのは投票人数が30人以上になってからの最少で、それはやはりクラブでのプレーがマイナス要素になって票が分散したのだろうと思うが、他の選手との比較の中で最終的にW杯のインパクトが評価されたということか。

6位以下は下記の通り。
選手名の青は監督、チーム名の赤は海外クラブ緑はJ2青はJ3橙はその他カテゴリ

以下雑感を箇条書きに。
・GKではやはり川口に票が集まった。「サッカー界のGKの歴史を変えた人」であり「楢﨑とともに日本のゴールキーパーの地位を上げたのは間違いなくこの人」。丁度自分を含め選考者はアトランタ五輪、人によっては清商の頃から活躍を見てきた世代だけに「マイアミの奇跡、アジア杯のヨルダン戦など数々のシーンが鮮明に思い浮かぶ」。「(マイアミの)あの勝利は運と川口のおかげ」。代表スタッフになるという報道もあったが「次の川口を育てて欲しい」。「今までの感謝を込めて」、「我々の青春よ、お疲れ様」、「後にも先にもあなた以上に気迫のこもったプレーをする選手はいないと思ってます。お疲れ様でした」。最終戦後のセレモニーで楢﨑が花束を持って登場したシーンは胸が熱くなったな。ちなみに今回楢﨑に1pt入っているのは「ヨシカツ引退試合のサプライズ」ただそれだけの理由らしい(笑)この人も今季出場無かったが来季どうするのだろうか。その他GKは飯倉、権田、川島が得票。飯倉は「Jリーグで他に類をみない戦術を可能にしたのは彼のポテンシャルがあってこそ」。今季序盤は飯倉チャレンジを何度も食らったが、中盤以降はラインの高さを調整し、失点は激減した。権田はJに復帰して安定感がかつてと見違えるようだった。代表正GKは今は東口かもしれないが、来年もしかしたら序列は変わるかもしれない。川島はW杯でかなり批判されたが、「批判を跳ね返すポーランド戦での活躍。もし0-2で負けていたら決勝T進出は無かった」。パンチングでの処理に難があるのは事実だがベルギーの強豪S・リエージュでのレギュラーGKという実績は川口、楢﨑も到達できなかった高みだし、その実績は色褪せ無い。

・中島の項でも述べたが、南野は7pt、堂安は13ptとそれほど得票は伸びなかった。2人ともクラブでも安定して活躍しているし、堂安は「21歳以下バロンドール最終候補に選ばれて」もいたが、オーストリアとオランダという報道量がそれほど多くないリーグなのと「W杯後に台頭した選手」という印象が強い故かな。「今後のさらなる活躍を期待

・選手以外では監督が3人得票。1人は別枠と言えるが・・・
西野「ポーランド戦でのスーパー采配。良いか悪いか別として、監督としてのタクトをブレずにふれる手腕に脱帽。
宮本「ガンバを立て直したことだけでなく、相変わらずのそのイケメンぶりに心を奪われました。
加藤「残留がかかる崖っぷちのなか、某掲示板における、残り全部勝とう!!が残り全部加藤...。の書き込みが今シーズンNo1
柏はアウェイ広島戦で強風を上手く利用して勝って神風とか言われてたけど、アウェイで首位に勝っちゃったから結果的に解任が遅れたよなぁ。よく「先を見過ぎず目の前の試合に集中」とか言うが、この場合は目先の勝利に惑わされた形。

・最年少得票者は去年に続いて久保(2001年生まれ)なのだが、今年は2000年以降に生まれた選手としては2人目の中村敬斗(2000年生まれ)が得票。
久保「子育て世代の期待の星、サッカー界の『国民の息子』と、呼びたい。笑 横浜でどんどん出場してほしい!
中村「他所から来て18歳でガンバでゴールを決めるのは、只者ではない。
中村は三菱養和出身だけど、ここも永井雄一郎田中順也と10年に一人くらい代表を狙えるアタッカーを輩出する。

・J2、J3勢では川口や相変わらず根強い人気のカズの他はヴェルディ松本山雅とJ2上位の選手が挙がった中で山口のオナイウが得票した。「どの所属チームでも結果を残せなかったが、今年の山口ではゴールという結果を残したことを評価。来年から大分みたいなので、J1でどれだけ点を取れるかも注目。」またJ3ではこの投票で播戸が今琉球にいることを知ったのだが(笑)、鹿児島の中原は知らなかったのでどんな選手かと思ったら「鹿児島ユナイテッドFCの昇格を決めたゴール」の選手とのこと。

・今回得票が無かった有力選手の中では、酒井宏樹に票が入らなかったのは意外だった。あれだけ叩かれた川島ですら票が入っている中でW杯の主力では唯一の得票0。自分も入れてないので偉そうなことは言えないが、所属クラブの格と出場状況を考えたらここ数年の欧州組で一二を争う安定感だと思う。代表にも絶対欠かせない選手。

・プレーの安定感で酒井と双璧なのが長谷部。クラブでリベロや中盤で守備を統率してDFBカップ優勝とヨーロッパリーグ出場を勝ち取った。余談だがブンデスバイエルンドルトムントに所属せずにリーグとカップ両方優勝したのは現役ではこの選手だけなんじゃないかと思う。ヴォルフスブルクでリーグ優勝、浦和でも国内タイトルとACLを総ナメにしたし、実はかなりタイトル運のある選手。また引退した代表でのラストマッチは「ルカクのスルーに長谷部の脚がもし届いていれば。。。」という最後だったが、直前の監督交代の中チームをまとめた「不動のキャプテン」、「偉大なるキャプテン」。長期に渡ってチームの軸となる主将を持てたのは日本にとって幸運だった。腕章を巻くだけなく、本当の意味でその地位を引き継ぐのは誰だろうか。

・毎回この投票では独自の選考をしてくれる人が多いのだが、都倉に票を入れたのが3人いたのはさすがに驚いた。サポートするチームの選手に票を入れるというのはあるが、選考者にコンササポはいないし、初めてJ1で二桁ゴールを決めて札幌の4位に貢献したという実績はあれど、得点ランク上位の小林、興梠より得票するとは。投票者コメント「札幌の躍進の象徴。SNSでの広報活動も献身的」とのこと。来季はセレッソでどうか。

・ベスト5に入らない次点の選手、特別枠、番外編もいくつかあった。ここでは書けない人や内容が多いんだが(笑)書ける人だけ。
神戸の三木谷オーナー「目先のチームも見る価値あるが、10年後に育成の花が開くのかどうか
ポドルスキイニエスタを取る以前からヴィッセルは寮を整備したり育成にも力を入れているが、小川や岩波は移籍してしまったし、なかなかトップチームで主力となって代表に入るレベルの選手は生み出せていない。U21代表の右SB藤谷、U19代表のDF小林らがどこまで伸びるか。

という感じで今年もまた興味深い投票となった。投票が集まりだした序盤は川口に票が集まっていて、勿論結果は尊重するが、お疲れ様票だけでベスト5に入るのはどうかなと個人的に思っていた中で、6位という絶妙さ。上で述べた本田と家長の得票数もそうだし、神の見えざる手、いや色々なサッカー観を持つ人が集まった集合知とでも言うか、いつもこの投票はこういう絶妙な結果になるし、だから面白いので止められない(笑)
来年は早々にアジアカップなので、2019年の投票がアジアカップ関連で埋まるのを願いつつ、年を越したい。

年間表彰2018(前編)

 さて今年も残すところ1週間を切った、ということは毎年恒例の当blog日本サッカー年間表彰。年末の慌ただしさと1年の疲れが押し寄せる中で、なかなか落ち着いて振り返ったり文章を書く時間が取れないが、やはりこれは外せない。例年同様にまずはMVP以外の各賞をば。
 
■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

2005年:バーレーン戦(○1-0/2005.6.3/ドイツW杯予選@マナマ)
2006年:サウジアラビア戦(○3-1/2006.11.15/アジアカップ予選@札幌)
2007年:豪州戦(△1-1(4PK2)/2007.7.21/アジアカップハノイ
2008年:カタール戦(○3-0/2008.11.19/南アW杯予選@ドーハ)
2009年:ベルギー戦(○4-0/2009.5.31/キリンカップ@東京)
2010年:デンマーク戦(○3-1/2010.6.24/南アW杯@ルステンブルク
2011年:韓国戦(○3-0/2011.8.10/親善試合@札幌)
2012年:オマーン戦(○3-0/2012.6.3/ブラジルW杯予選@さいたま)
2013年:ベルギー戦(○3-2/2013.11.19/親善試合@ブリュッセル
2014年:豪州戦(○2-1/2014.11.18/親善試合@大阪)
2015年:パレスチナ戦(○4-0/2015.1.14/アジアカップニューキャッスル
2016年:サウジアラビア戦(○2-1/2016.11.15/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:豪州戦(○2-0/2017.8.31/ロシアW杯最終予選@さいたま)

1位:セネガル戦(△2-2/2018.6.24/ロシアW杯GL@エカテリンブルク
2位:ウルグアイ戦(○4-3/2018.10.23/親善試合@さいたま)
3位:コスタリカ戦(○3-0/2018.9.11/親善試合@吹田)
※特別賞:ベルギー戦の後半7分まで(後半7分時点○2-0/2018.7.2/ロシアW杯決勝T1回戦@ロストフ・ナ・ドヌ
 今年のA代表は14戦6勝3分5敗。W杯でベスト16に進出しただけに普通はこの大会からとなるが、コロンビア戦は勝ったとは言え相手が殆どの時間で1人少ない状況だったし、むしろ二度先行されながら追い付いたセネガル戦を評価したい。結果的にポーランド戦は時間を消費する試合になったが、主力の一部を休ませることが出来た訳で、それはセネガル戦で勝点1を得たからこそ。ポーランド戦もそれまでと同じ面子で臨んでいたら、GLは突破出来てもかなり消耗し、同じ敗北にしてもベルギー戦ではリードすら出来なかったかもしれない。ゴールを決めた2人、原口はポーランド戦出てなかったし、乾も後半20分過ぎからの出場だった。
2位はスアレス以外ほぼベストメンバーだったウルグアイとの打ち合いを制した10月の親善試合で、3位は新監督の初戦、かつ新しいメンバーが躍動して快勝したコスタリカ戦。そして特別賞としてベルギー戦の乾のゴールが決まった時間までを。やはりこの試合も後世に伝えないと。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

2008年:バーレーン戦(●0-1/2008.3.26/南アフリカW杯予選@マナマ)
2009年:バーレーン戦(●0-1/2009.1.28/アジアカップ予選@マナマ)
2010年:韓国戦(●0-2/2010.5.24/親善試合@さいたま)
2011年:北朝鮮戦(●0-1/2011.11.15/南アW杯予選@平壌
2012年:ウズベキスタン戦(●0-1/2012.2.29/ブラジルW杯予選@豊田)
2013年:ブルガリア戦(●0-2/2013.05.30/親善試合@豊田)
2014年:ブラジル戦(●0-4/2014.10.14/親善試合@シンガポール
2015年:北朝鮮戦(●1-2/2015.8.2/東アジアカップ武漢
2016年:UAE戦(●1-2/2016.9.2/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:韓国戦(●1-4/2017.12.16/EAFF E-1選手権@調布)

1位:ウクライナ戦(●1-2/2018.3.27/親善試合@リエージュ
特別賞:ベルギー戦の後半24分から試合終了まで(最終結果●2-3/2018.7.2/ロシアW杯決勝T1回戦@ロストフ・ナ・ドヌ
 ポーランド戦がワーストだという人もいるかもしれないが、個人的に最後のあのボール回しはルール上有り得ることなのでGL突破という結果を手にした以上特に言うことは無い。今季のJは川崎が敗れつつも他会場の結果でリーグ優勝が決まったが、多少バツは悪いが最終的に望むものを手にしたという意味であれと似たようなもの。その他今年の敗戦を振り返ると、ベルギー戦は後述するが別枠で記録するとして、ガーナ戦、スイス戦は監督が代わった直後でまぁこんなものだろうなという印象だった。その中で結果的にハリルの最終戦となったウクライナ戦は内容的に酷かったので挙げておきたい。相手の組織的な動きに付いていけず殆どチャンスも作れなかった。ハリル解任の背景には色々な動きがあったのだろうとは思うが、あの内容が“最後の一押し”になってしまった感はある。
 ベストマッチと同様にベルギー戦の最初の失点から試合終了までを特別賞として。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

2005年:中村(俊)(ブラジル戦(コンフェデ杯)同点ミドル)
2006年:玉田(ブラジル戦(ドイツW杯)先制点)
2007年:山瀬(カメルーン戦(親善試合)決勝ミドル)
2008年:玉田(カタール戦(南アW杯予選)ミドル)
2009年:中村(俊)(バーレーン戦(南アW杯予選)FK)
2010年:本田(デンマーク戦(南アW杯GL)FK)
2011年:李 (豪州戦(アジアカップ決勝)決勝ゴール)
2012年:本田(オマーン戦(ブラジルW杯予選)先制ゴール)
2013年:本田(オランダ戦(親善試合))
2014年:岡崎(豪州戦(親善試合)バックヒールゴール)
2015年:柴崎(UAE戦(アジアカップ準々決勝)同点ミドル)
2016年:山口(イラク戦(ロシアW杯予選)決勝ミドル)
2017年:井手口(豪州戦(ロシアW杯予選)2点目のミドル)

1位:原口(ベルギー戦先制点)※動画6秒から
2位:(ベルギー戦2点目)※動画23秒から
3位:南野ウルグアイ戦先制点)※動画12秒から
4位:山中キルギス戦先制点)※動画30秒頃から
5位:本田セネガル戦同点弾)
 今年は14戦で27ゴール。最多得点者は乾と南野(4点)で、大迫(3点)、香川、原口、伊東、中島(2点)、槙野、本田、川又、堂安、酒井宏樹、山中(1点)と続く(その他OGが2点)。
 やはり試合の価値、相手の強さ、その中でのゴールの価値(先制、逆転等)が大きいほど評価は高くなる中で、1位はベルギー戦のどちらにするかで迷ったが、原口のゴールで。予選のアウェイ豪州戦でも同じように裏に抜け出して決めたゴールがあったが、これまで代表ではエリア内で点で合わせるパターンが多かった。ドリブラーなのにそれがゴールやアシストに反映し切れてないのが勿体ないなと思っていた中での、このゴール。また柴崎の縦パスも素晴らしかったのでそれと合わせてのベスト。
 で、2位は乾のゴールなのだが、今年のゴールを見返していて、W杯直前のパラグアイ戦でも同じ様なミドルを決めていたのを思い出した。試合後のインタビューで西野氏が「(乾が)やっとボールと足がフィットしてきた」てなことを言っていたが、あの試合から何かが変わったな。3位は南野のウルグアイ戦の先制点で、ボールを受ける瞬間のターンとかこの選手のセンスが詰まったゴール。4位は山中の開始直後のミドルで、あの位置から逆サイドに低いミドルを打てる選手はなかなかいない。ベイル化(SBからアタッカーにコンバート)の可能性をここでも言っておく(笑)5位も同じセネガル戦の乾のゴールと迷ったが、終盤に追い付いたゴールの価値、W杯3大会連続、アフリカ勢にも3大会連続で点を決める本田の大舞台での勝負強さ、ゴール前に体を投げ出して相手GKを惑わす岡崎とか、色々な要素が詰まっていたのでこちらを。

■年間最優秀若手選手(U-20)
※対象は1998/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

2006年:本田(2位:西川)
2007年:安田(2位:香川、3位:内田)
2008年:金崎(2位:内田、3位:香川)
2009年:米本(2位:香川、3位:権田)
2010年:宇佐美(2位:酒井(高)、3位:小野)
2011年:久保(2位:指宿、3位:扇原)
2012年:柴崎(2位:石毛、3位:小野)
2013年:南野(2位:久保、3位:大島)
2014年:植田(2位:岩波、3位:室屋)
2015年:南野(2位:関根、3位:中村)
2016年:井手口(2位:鈴木(優)、3位:中山)
2017年:堂安(2位:中山、3位:前田)

1位:堂安(フローニンゲン
2位:冨安(シント・トロイデン)
3位:杉岡(湘南)
 2017ー18シーズン後半からのゴール量産とW杯後の代表デビュー&初ゴールを考えたらこの選手だな。2年連続受賞。2位はベルギーでレギュラーを掴み代表デビューも果たした冨安。日本のCBは
生まれ年:氏名(代表記録)
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1956年:加藤久(代表61試合6ゴール)
1967年:井原正巳(代表122試合5ゴール)
1978年:中澤佑二(代表110試合17ゴール)
1988年:吉田麻也(代表89試合10ゴール)
と約10年間隔で長く代表を引っ張る中心選手が現れるが、1998年生まれのこの選手はまさに10年に一人の逸材。
今年は橋岡(浦和)、安部(鹿島)、郷家(神戸)など1999年世代もJ1でレギュラー、準レギュラーを掴む選手が多かったが、ここはルヴァン決勝MVPの杉岡で。来年のA代表入りに期待。

■最優秀監督
※過去の受賞者

2009年:手倉森(2位:城福、3位:小林)
2010年:岡田(2位:小林、3位:関塚)
2011年:佐々木(2位:手倉森、3位:吉武)
2012年:森保(2位:手倉森、3位:吉武)
2013年:森保(2位:吉武、3位:小林、4位:高木、5位:風間)
2014年:長谷川(2位:城福、3位:反町、4位:石崎、5位:柱谷)
2015年:森保(2位:佐々木、3位:井原、4位:長谷川、5位:石井)
2016年:石井(2位:渋谷、3位:風間、4位:小林、5位:森山)
2017年:鬼木(2位:高木、3位:名波、4位:下平、5位:渡邊)

1位:大岩(鹿島)
2位:森保(代表/U21)
3位:鬼木(川崎)
4位:相馬(町田)
5位:片野坂(大分)
 今年は迷ったな。J1、J2、代表関連で候補者が多く。
 まずJ1から見ていくと、城福氏(広島)、長谷川氏(FC東京)はどちらも新任で、昨季不振だったチームの順位を大幅に上げたのは事実なのだが、終盤の大失速の印象が強くベスト5にランクするのは抵抗がある。J1ならタイトルを獲った鬼木氏(川崎)や大岩氏(鹿島)を入れるべきだし、途中就任して降格圏のチームを9連勝させて最終9位に上げた宮本氏も候補に入る。
 次にJ2だが、2年前J3だったチームを自動昇格させた片野坂氏、そして優勝の反町氏、そして予算規模やJ1ライセンスが無い中でモチベーションを落とさず4位に導いた相馬氏が候補。
 ここまでで既に6名だが、代表関連の人も名を挙げておきたい。西野氏はチームの責任者(最終決断者)としての功績は大きかったとは思うが、ここではW杯はコーチとして監督を支え、監督に昇格した後は5戦4勝1分と結果を残し、同時にU21でアジア大会準優勝の森保氏の功績は大きい。また森山氏も異例の途中就任(通常はU15から継続して同じ世代を見る中でU16から就任)ながらU16代表でアジア制覇。
 以上の候補からベスト5を選ぶ訳だが本当に悩ましかった。悩んだ結果、大岩氏は過密日程とは言え国内タイトルは良いところまで行きながら無冠だったのがややマイナスだが、リーグ終盤に控え中心でベストメンバーのセレッソレイソルを破るなど最終3位に滑り込んだチーム力はさすが鹿島と思わせるものがあったし、ACL制覇の偉業を称える意味で1位に。2位は森保氏、3位に鬼木氏、そして4位はチームの予算規模(約7億)を考えたら相馬氏で、5位に同じく経営規模(約10億)がJ2でも中位で、何より2年前はJ3にいたチームをJ1に上げた功績から片野坂氏で。ただ反町氏は正直マンネリというか2年前にPOで敗退した時にチームとしての伸びシロはもう無さそうに見えて、実際昨季は8位に落ちた訳だが、その翌年に優勝させたのはさすがだと思う。

 と色々な監督の名を挙げていてふと思ったが、広島系統の人(片野坂、森保、森山)と鹿島系統の人(大岩、鬼木、相馬)が多い。広島系統の人は以前も書いたが当たり負けない強さやメンタル面を強調し、独特の戦術を持っていてもそれにこだわらず手持ちの選手に合わせて、また相手をよく分析する人が多い。3バック+2シャドーの使い手ながら代表では4バックを継続し結果を出している森保氏が典型的。他に高木氏(長崎)、上野氏(甲府)など。風間氏も現役時代広島にいたのでこの系統と言えなくも無いが、この人のサッカー観は地元静岡がベースにあると思うのでちょっと違うかな。鹿島系統の人はやはり勝負にこだわる姿勢が強い。他に手倉森氏(代表コーチ→長崎)、関塚氏(現技術委員長)、石井氏(大宮)など。さすがと言うべきか殆どの人が過去指導したクラブや世代別代表でタイトルを獲っている。身体とメンタルの強さを植え付けて、戦術的な柔軟性、勝負へのこだわりも持つ・・・これが出来る指導者はやはり優秀てことなんだろうな。

 メインの最優秀選手は明日発表(したい)。

ベルマーレ創立50周年記念試合 ベルマーレレジェンド×マリノスレジェンド(湘南BMW)


 国内シーズンもオフに入って冬の観戦は高校選手権くらいかなと思っていたところにこんな試合が。平塚に行くのは5年振りだが、ただ行って帰るのも面白くないので試合前にどこか行こうかなとマップを見ながら目に入った寒川神社に行くことにした。
 という事で相模線に乗ったのだが、首都圏近郊にこういう単線路線があるのには驚かされる。最寄は宮山駅だが、相模国の一之宮のお膝元の割に駅舎はこじんまりとしていて周辺も圏央道が目立つくらいで長閑な場所。

駅から10分足らずで到着。

 色々縁起を読んでいて、古代は相模湾がこの辺りまで入り込んでいたとのことだが、鹿島神宮然り、大宮の氷川神社然りでやはり古い神社は海(水)との関わりが深い。最初は沿岸の小高い丘の上に何かを祀る祠のようなものが建てられて、それが徐々に規模を大きくしていったのだろうな。
 参拝して御朱印を貰ってさあ平塚へ行こうと思ったらここで雨が降り出してきた。予報から覚悟はしていたが思ったより雨脚が強いのは誤算だった。スタジアムまでは相模線、東海道線平塚駅に向かい、そこからバスで15分程度なのだが、雨はまだ強かった。着いたのは開始20分程前だったので屋根下はやはり埋まっていて仕方なく9/29仙台戦以来の雨に打たれながらの観戦。ここは5年振りだが両ゴール裏の端にチームカラーの座席が置かれていたりとか、幾つか変わっている所はあった。

新スタジアム構想もあるようだが、やはり座席がチームカラーだとホーム感が増すので、もし専スタが出来るなら緑と青に染まったスタンドになるのを願う。

 この試合に行こうと思ったのはメンバーが自分が小中高時代に観ていた選手達が多かったからなのだが、小村、三浦文丈といった当時のレギュラークラス以外に岡山、平間、井手口、阿部祐大朗といった当時の若手選手、サブメンバーも結構多くて懐かしかった。ベルマーレも名良橋、岩本、ベッチーニョ、小島、呂比須といった選手がいたりで。後、石川ナオがマリノスのユニを着てプレーする姿を観られたのも良かった。殆どの選手がシャープな体型でなかなか動けていたのだが(特に金田喜稔は今年還暦とは思えないプレーぶり)、マリノスの山田は一番現役時代と“変化”してたかな(笑)この選手のプレーは95年の名古屋戦だったか、エリア外中央からのミドルなど2点決めて2-0で勝った試合が何故か強く印象に残っている。
 試合中はベルマーレのスタジアムDJが実況しつつベンチに下がった選手が入れ替わりで解説していたのだが、特に終盤に登場した高田保則の喋りが上手くて面白かった。この選手も99年ワールドユース準優勝メンバーなんだよなぁ。あのチームも高原と2トップを組む相手をずっと探していて、何人も試されて最終的にこの選手や播戸、永井が選ばれたのだった。やっぱ10代の頃は好きなチームだけでなく国内外問わずサッカー全般を貪り読んで見ていたので、今でもふと当時の記憶が蘇ってきたりする。
 試合はマリノスレジェンドが3-2で勝利。リードしたマリノスがATにPKを得るもマリノス側がそれを拒否して同点のお膳立ては整ったのだがそのまま試合終了と(笑)試合後は両チームからマリノス木村和司ベルマーレ小島伸幸が挨拶したのだが、小島氏が「今ここにいる小学生が50年後孫を連れて100周年を祝えるように歴史を繋いで欲しい」というような内容の事を言ったのが強く印象に残っている。そうそうハーフタイムには元ベルマーレ会長だった河野外相も挨拶していた。

 こういう雨降りの試合にありがちだが、試合が終わると雨は止んだ。帰りは平塚駅まで歩いて東海道グリーン車に乗って帰宅。電故でダイヤが乱れていて駅に止まる度に長い停車時間があったりしたようだが、疲れで意識を飛ばしてたのでそれほど気にならず。

J1第34節 横浜M×C大阪(日産)


 毎年のことだが、いつの間にか12月となり、リーグ最終節。ただいつもなら冬の観戦装備をしていく中で日中汗ばむほどで、とても12月には思えなかった。

 今日はお互い残留が(ほぼ)決まり、ACLの可能性も無い中での試合だったが、「緩さ」は適度に収まってお互いオープンに攻め合う展開になった。開始から一進一退でどちらに先制点が生まれてもおかしくなかったが、より相手GKを脅かしていた、つまり相手のゴールエリア内でシュートチャンスを作り出していたのはセレッソの方だったかな。マリノスはいつも通りサイドから仕掛けてセレッソゴールに近付きはするのだが最後のクロスの質が悪く、中央で撥ね返されたこぼれをエリア外からミドル、というパターンが多かった。
 後半は開始早々にエリア内での混戦から天野が足を伸ばしてゴールに流し込んでマリノスが先制。ただそれから10分もしない内にセレッソが右サイドを崩して最後は山村が中央で合わせて追い付き、更にその数分後にはCKから清武が押し込んで逆転した。展開的に、昨季のホームの試合のようにセレッソが僅か10分足らずで逆転した形で、その後もマリノスが追い付く為に攻め込むが、逆にセレッソが効果的にカウンターを仕掛けてマリノスゴールに近付くシーンが多々あった。去年からセレッソ戦で思うことだが、やはりソウザや山口は足下がしっかりしているからボールを落ち着かせられるし、長短のパスも繰り出せる。セレッソのカウンター時にいつもマリノスにとって嫌な場所にパスを通されゴール前まで到達されるのはこうした中盤の能力の高さあってこそ。
 終盤には中澤が久々に入ってマリノスが攻勢を強めたがそれほど決定機は作れずそのまま試合終了。シュートはそれなりにあったがいずれもGK正面で、キム・ジンヒョンにとっては難しいシーンでも無かった。

 これで今季の公式戦を全て終えた訳だが、何というかこの1年は壮大な実験に費やされたように思う。それは“マンCと同コンセプトの戦術を他チームに展開出来るか否か”というもので、この1年観てきて思うのは、「マンCの様な結果を手に入れる為には(そのリーグ内で相対的に)図抜けたタレント、特に若いタレントを各ポジションに揃えなければ難しい。」
 グァルディオラが見せるサッカーは、タレントの力に応じた戦術とでも言うか元々能力ある選手達と戦術の高度な融合によって生まれるもので、中途半端なコピーは火傷するだけなんじゃないかと。今のJでそれ(リーグ内での圧倒的覇権)を再現するなら、各ポジションに代表クラス(特に年齢の若い選手)やリーグ内で突出した外国人選手を揃えなければならない。例えば中盤やサイドに中島、堂安、CFはジョー、といった具合に。今挙げた選手はあくまで例であって、今のマリノスがそうした選手を生み出せるクラブ、買えるクラブでは無いのは承知しているがハードルは相当高い。来季から外国人5人出場可能というのはCFGのネットワークを使える今のマリノスにとっては朗報である反面、優秀な外国人選手1人獲得するだけでも年俸だけではないコストが掛かることを踏まえれば、予算との兼ね合いも考慮しないといけない。横浜という大都市を本拠としている宿命か、クラブの能力を超えた成績や数値を求められる不運はあるとは思うが。

 試合後は観戦仲間でそのまま新横浜にて打ち上げ。さすがこの時期は天気も良く(最終節がどんな結果でも)何だかんだ最後は楽しい酒が飲める。

J1第33節 鳥栖×横浜M(ベアスタ)


■九州行(2日目)
 2日目の予定は特に決めておらず、ベアスタに行くまでは朝鹿児島を出て熊本で途中下車もいいかな、などと考えていたのだが、初日に友人と話す中で、桜島まで連れて行って貰えることになった。朝ホテルまで迎えに来て貰い、大隅半島を南下して陸路で桜島へ。錦江湾沿いの道を進んだのだが、ここは野生のイルカも生息しているらしい。海上自衛隊の拠点もあるらしく潜水艦も見えた。

途中垂水市にある道の駅にて。桜島というと基本は鹿児島市街からのアングルだが、こうして別方向から見るとまた違った印象を受ける。このまま湾沿いの道を進み、桜島へ上陸。島内を海沿いに進むと鹿児島市街が見える展望台に着いた。近くには以前長渕剛桜島ライブをした時のモニュメントもあったので一応記念撮影(笑)

 その後はフェリー乗り場まで送って貰ってここで友人と別れた。

鹿児島は2回目だが、前回は滞在時間数時間だったし、今回は車でしか行けないような場所に連れて行ってくれて本当の意味で観光することが出来た様に思う。感謝。

 鹿児島港まではフェリーで15分ほどであっという間に着く。船を降りた後は市電で鹿児島中央駅に向かい、ここで土産を買いつつ新幹線で鳥栖へ。九州新幹線も7年振りなので忘れていたが、熊本辺りまではトンネルが多く携帯の電波が通じない。久留米で降りて在来線に乗り換え、12時過ぎに鳥栖駅到着。昼食に駅ホームでかしわうどんを食した。
 スタジアムは駅前なのだが、駅を出た後は近くのショッピングモールへ。以前某まとめサイトで見たミンチ天を一度食べてみたく(笑)、土産用と合わせて3つ購入し、スタジアムへ。

■観戦記
 前回行った時は鳥栖はまだJ2で、その時の観衆は約5,000人だったが、今日はチケット完売の約19,000人でチームには権田の様な現役日本代表やトーレスまでいるんだからこの7年という時間の長さを感じる。座席はメインスタンド2階アウェイ寄りにしたのだが、着いた時には開始まで1時間半ほどあった中でスタンドの中央寄りは埋まっていた。コンコースはホーム・アウェイで仕切られていないので中を散策してみたのだが、アウェイG裏に焼酎や日本酒の瓶が並んでいたので、ついお湯割りを購入。さすが九州。

 それでようやく試合が始まったのだが、今日は山中が欠場してシノヅカが代わりに左SBに入ったのだが、開始からプレーが空回りして試合に絡めてなかったな。前半に警告も受けたが、前半の内に退場してもおかしくないプレーぶりだった。チーム全体としてもパスミスが多くボールをなかなか前に運べず、トーレスにロングボールを集めたりカウンターでサイドから攻める鳥栖のシンプルな攻撃に押される時間が長かった。そんな中で攻め手は仲川の仕掛けくらいしか無かったのだが、前半半ばに仲川→大津を右サイドを突破して最後は中央で伊藤が合わせてマリノスが先制した。前半はこのまま終了。
 後半もやや鳥栖ペースが続いていた中で、マリノスのゴールが直前の天野?のハンドで認められなかった直後に今度は鳥栖の右サイドからのクロスをエリア内のシノヅカがハンドという判定で鳥栖にPKが与えられ、これを金崎が決めて1-1。これでスタンドは沸き始めて鳥栖に再び勢いが出てきたのだが、同点から10分経たない内に、ドゥシャンが上がった裏にパスを通されてゴール前のトーレスにボールが渡り、これを冷静に決めて鳥栖が逆転した。逆転された後マリノスはウーゴ、久保を投入するが権田を脅かすシーンはあまりなくそのまま試合終了。
 マリノスは引き分け以上で残留確定だったが、(数字上はほぼ確定とは言え)最終節まで残留を決める事が出来なかった。同点とされた時に大津→喜田の交代があったが、試合展開に関係なくいつも前半の半分が過ぎる前に喜田を入れるのがここ最近のお約束になっている。今日の試合ならシノヅカは前半途中に引っ込めても良いくらいの出来だったが結局後半36分までプレーしたし、やはり交代策で相手の裏をかくとかは苦手な監督という印象を受ける。久保も久々に観たが、入ったのは後半40分だったし、あまり監督の信頼を受けている訳ではなさそう。今季は色々メンバーを入れたり外したり試行錯誤してようやく今のメンバーに固まって来たが、あくまで現有戦力の中でのベストであって、このサッカーでリーグ戦を勝ち抜くには色々足りなすぎる。攻撃陣も仲川への依存度が高く、左も同じくらいの数字を残せる人が必要。遠藤も今いる選手の中で一番機能するというだけで、本人は結果を出している訳では無い(リーグ戦2G3A)。次はもう最終節だが相手のセレッソも監督の退任が決まり、ホームで柏に敗れるなどいまいちな調子の様なので、この前のFC東京戦みたくどこか緩い試合になりそう。

 今日は鳥栖のホーム最終戦なので試合後にイベントがあったようだがすぐにスタジアムを出て特急に乗車。16時過ぎにスタジアムを出てで16:13の特急に乗れるのは鳥栖ならではだな。10分程乗って二日市で降り、そこから西鉄に乗り換えて太宰府天満宮へ。

天満宮に行って梅ヶ枝餅を食べるのはもう定番みたいなもの。そこから天神に行って長浜屋に行くのも同様。

最後は地下鉄で空港に向かい、飛行機まで少し時間があったので展望デッキで次々と離着陸する様を眺めつつ帰宅。家に着いたのは日付が変わる直前だったが密度の濃い旅だった。九州は何度行っても良いな。