J1第18節 横浜M×大分(三ツ沢)


 三ツ沢の時に限って雨が降るのだが、今は梅雨時なので仕方ない面もある。こうなった原因はラグビーW杯でリーグ戦の日産スタジアム開催が少なく(14→12)、その分三ツ沢開催が増えた為かと思っていたが、日産スタジアムの予定を見ると今日は特に他のイベントは入っていない。つまりは(トーレス加入以前の)鳥栖戦同様に、日産スタジアムでの観客動員があまり見込めないが為に三ツ沢開催となった、ということかな。ちなみにこの時期の三ツ沢開催について過去の観戦歴を辿ってみたのだが、丁度6年前、2013年7月6日(土)に奇しくも同じ大分と対戦しており、この時は1-1の引き分けだった。当時の文章を読み返すと、6年前は7/6時点で梅雨明けしていたらしい。こういう気象情報は書いておくものだな(笑)

 開始直後にスタジアムに着くと、エンドが通常と入れ替わっており、マリノスは前半にホームゴール裏に攻める構図だった。前半の30分位まではほぼ一方的な展開で押し込んでいたのだが、大分の最終ラインが踏ん張ってゴールを割らせず。大分守備陣はクロスへの対応が良く、エリア内でシュートを打たれるシーンでもDFがしっかりコースを切っているのでGK高木は常に正面でセーブすることが出来ていた。
 後半は前半よりもやや大分が押し返す形だった。今年の大分のサッカーをこの眼で観るのは2試合目だが、少しでも前が詰まったら躊躇無くGKまでボールを戻してまた作り直す、という作業を何度も繰り返していたシーン一つとっても片野坂氏の指導力の高さが覗えた。雨で滑りやすいピッチでもそれが出来るというのはそれだけチーム全体に動きが浸透しているということなので。ただ、GKからのビルドアップという“自分達の型”に持ち込むには(試合中に)相応の時間が掛かり、また対戦が一巡して今後はボールを回したいスペースに相手がカバーに入る、という状況も増えてくるであろう中でどれだけ勝点を伸ばせるか、少ないチャンスを決めきるか、という問いはあるだろうな。そうそうGK高木はセービングのみならずビルドアップでも安定していたのでどこの高校/ユースの出身なのかなと思ったらヴェルディユースから明大を経て川崎でプロ入りというキャリアだった。川崎にいたのは薄っすら記憶にあるがヴェルディユースだったとは。あの足捌きも納得。

 試合は後半30分頃にエリア内でエジガルが放ったシュートが大分DFに当たり、そのこぼれが再びエジガルの前に転がって2度目のシュートはDFに当たりつつもゴール。これを守り切ってマリノスが1-0で勝利した。丁度2週前の松本戦と同じスコアでゴールの時間、そしてエジガルがエリア内でストライカーの嗅覚を発揮したというのも似ている。こういう試合で決めきれず勝点1に終わるか3になるかは大きく違うので、このホーム2試合で勝点6取れたのは大きい。ただ2試合とも1-0で得失差は稼げなかった。18試合終えて暫定2位ながら得失差は+6。上位陣は大概得失差が二桁になる中でこれは同じ勝点なら不利になることを意味する。ならば勝点で上回るべく勝点3を積み上げていくしかない。

 試合後はベルギーへのレンタル移籍が決まった天野の挨拶が予定されていたが、雨脚が強まっていたのもあってすぐにスタジアムを出た。やはりスピーチに残る人が多かった為かバスもそれほど並ばず21時半前には横浜駅に到着。

J1第17節 FC東京×横浜M(味スタ)


 今日でリーグ戦も折り返し。毎シーズン思うことだが早いものだな。このタイミングで首位と2位の対決というのは前後期制ならステージ優勝決定戦になる。まぁACL組の鹿島、川崎の消化試合数が1つ少ないのだが、今日の試合で東京が勝てば勝点36となって鹿島も川崎も追い付けず、前半戦を首位で折り返すことになる。
 今日は中央線沿線で野暮用があったので、中央線の武蔵境駅から西武線に乗り換え、初めて西武多摩川線多磨駅から味スタに向かった。1.5km程なので十分徒歩圏内ではあったが、丁度バスが来たのでそれに乗ってスタジアムのすぐ傍で下車。チケはバック上層だったので、飛田給から行くより入場ゲートから歩かずに済んだ。着いてすぐにスタメン発表だったのだが、選手紹介時に照明が落ちたりスタンドの2階スタンド前のリボンビジョンで情報が流れたり、味スタも日産同様に設備がグレードアップされていた。

 試合は予想通りマリノスがボールを支配して東京がカウンターという展開だったが、前半15分にマリノスが先制。仲川の右クロスをGK林が弾いてそのこぼれをマルコスが詰めたものだが、その1つ前に喜田が右サイドに出した縦パスが素晴らしかった。ラインを割りそうで割らない絶妙な塩梅でそこに仲川が走り込み、それがゴールに繋がった。5月の月間MVPには驚いたが、完全にチーム内で立場を築いているし、CFG体制になってからのモンバエルツ→ポステコグルー両監督時代を通じて一番伸びた選手では無いかと思う。今季のマリノスの主将が喜田、扇原、天野と複数体制なのはキャンプ時点では皆決め手に欠けてこの人に腕章を託す、という選手がいなかったからだと思うが、おそらく来年以降は喜田の単独キャプテンになっているのではないかと思う。

 前半早々にマリノスが先制したので2点目を取ったら一気に行けるかなと思った矢先に東京が同点。左から切り込んだナ・サンホのシュートはGK正面だったが、これを後ろにこぼしてそのままゴールインというもの。東京は久保が抜けてそれを若手の成長でカバーするつもりなら厳しいなと思っていたが、この選手は久保ほど攻撃で違いを作れる訳ではないが、粘り強さとゴールに貪欲な姿勢がある。いつもなら裏にボールを出されてもそのスピードで楽々カバーするチアゴにも積極的に体を寄せに行ってCKを取ったりマリノスにとって嫌なプレーを実践していた。
 その後もマリノスがボールを支配する流れは変わらなかったのだが、前半40分前に高萩のロングパスに抜け出した永井がループ気味のシュートを決めて東京が逆転した。アシストの高萩はこのシーンの前に二度ほどロングパスをミスしていて、1度目は単純なキックミス(足を芝に取られた)、2度目は相手CKからのカウンターで左サイドから逆サイドの味方に長いパスを通そうとしたらGKパクにそのままキャッチされたというもので、今日はこの選手の日では無いのかな、と思っていた中でのあのプレー。丁度2度目のミスと同じマリノスのCKからのカウンターで自陣左サイドから出したパスだったが、今度はしっかり永井に合わせた。(おそらく)チームとして明確な動きの約束があり、1,2度失敗してもそれをやり続けた末に決まったゴール。この2点目だけ見ても東京がボールを繋げない、カウンターしか出来ないと侮ってはいけないのが分かる。別にボールを支配するチームが偉い訳では無く、いかにして点を取るかというのを各チーム考えている中で、東京はカウンターという手段を研ぎ澄ませて今のサッカーを作り上げた。

 後半も展開は変わらなかったが、東京がカウンターを仕掛ける度に決定機が訪れ、後半17分までに更に2点を追加して4-1。事実上試合は決まった。チアゴがエリア内に切り込んだ永井に対応し、その永井のクロスに合わせたD・オリヴェイラに対応したのが天野だった3点目とか、4点目で永井に吹っ飛ばされた和田とか、マリノスはカウンター時の弱さを露呈していたな。マンC然り、川崎然り、ポゼッション型のチームはカウンターを防ぐ為に奪われたら即奪い返すというのが鉄則だが、今日のマリノスは奪われた後の対応に問題があった。終盤に仲川が1点返したがそのまま4-2で東京の勝利。

 試合後は久保の壮行セレモニーが予定されていたが、既に21時だったし電車が混むのを避けたかったのですぐスタジアムを出ていつもの様にに西調布まで歩いて京王線に乗車し、帰宅。

J1第16節 横浜M×松本(日産)


 観戦は3週ぶり、マリノス戦は約1ヶ月ぶり。この間CL決勝、A代表の親善試合&コパ・アメリカU22のトゥーロン国際、なでしこの女子W杯とか色々あって実際の期間以上に久々な感覚がある。今日は昼前から雨が断続的に降りつつも時折雲の切れ間から空が顔を覗かせるという、典型的な梅雨の天気だった。三ツ沢でこの天気は嬉しくないが、屋根のある日産ならば、季節の風物詩として楽しむ心の余裕がある(笑)まぁ家からスタジアム迄は傘要らずで、着いた途端に激しく降り出すという運の良さもあった訳だが。
 16時半頃にスタジアムに着いていつもの様に2階で席を確保したのだが、このホーム側ゴール裏2階の一部座席が更新されていた。

 2階の両ゴール裏とメインスタンドは今季のJ開幕時点で座席が更新されていなかったので、このまま9月のラグビーW杯に臨むつもりかと思っていたが、この様子だと全て更新される気配。マリノスの日程を見るとラグビーW杯前最後の試合は8/17のセレッソ戦なので、そこから9/20の開幕までの1ヶ月で残りの座席を一気に更新するのかな。

 今日の試合はマルコスが前節の退場で出場停止、三好も代表で不在という中で中盤はどう組むのか興味があったが、喜田、天野、山田という構成。開始からボールを保持して攻め込み、チャンスも幾つかあったが、やはり3トップの後ろからゴール前に飛び込むマルコスの不在を感じさせる内容ではあった。天野や山田はパス、トラップといった基本技術のしっかりした選手ではあるが、そうであるが故に2列目からゴール前に顔を出してゴールorアシストの決定的な働きをするというのは、単純なボールスキルとは違う才能なのだというのを実感させられる。マリノスのサッカーに限らず、今は2列目の選手でもゴールの「数」が重要。まずゴール数があって次にアシスト数があり、要はゴールに直接絡むことが求められる。そんな中で見た目は何となく上手く見えるけどゴールに直接絡む回数は多くない、というような選手は遠藤、シャビ、ピルロといった司令塔タイプを除いて居場所が無くなるのではと思う。

 松本のサッカーを観るのはそれこそ前回J1だった15年の最終節(場所も同じ日産スタジアム)以来だったが、磐田戦の観戦記で書いたように同じ監督の下で長期間戦っている強みというか、4年前より簡単に負けないチームになっている印象を受けた。最終的に枠内シュートは0だったようだが、マリノスにボールを支配されながら相手ゴール前に到達するシーンは幾つかあったし、クロスバーをかすめるシュートもあった。ただ数少ないチャンスでシュートがダフったり、力みすぎて枠外に外したりするシーンを観るに、最前線で決定的な仕事の出来るタレントがいないのは今後に大きく響くかなとは思った。

 試合は後半半ば過ぎまで0-0で、これは鳥栖戦の様にアウェイチームが勝点1を得るパターンかなと思っていたが、80分に左サイドから途中出場の大津のクロスをゴール前のエジガルがトラップで相手マークを外してシュート、これが決まりマリノスが先制。中盤の得点力が無い分、サイドの比重、特に仲川の出来がこの試合を左右すると思っていたが、山田と交代で2列目に入っていた大津が決定的な仕事をした。このまま逃げ切って1-0勝ち。

 マルコス、三好不在で勝点3取れたのは大きいな。ハーフタイムには加入が決まった泉澤が紹介されたが、得点力のあるサイド、2列目の選手としていいテコ入れになるのではと思う。この選手と言えば3年前の大宮時代に三ツ沢で決めたスーパーミドルがまず思い浮かぶ。
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 試合終盤は雲も晴れて結局傘要らずで帰宅。

J1第14節 FC東京×大分(味スタ)


 今節のマリノスは金Jだったので今日はどこか別の試合を観に行こうかと思案し、味スタへ。まぁ等々力の川崎×浦和は完売でここくらいしか選択肢は無かったのだが、瓦斯は今首位だし、相手の大分も昇格シーズンに5位と好調、特にマリノスがアウェイで完敗した大分のサッカーを観てみたかった。
 キックオフギリギリに着いたのだが、序盤は東京がやや優勢かなという展開。先日観た秩父宮でのルヴァン杯では攻撃の形があまり見えなかったが、さすがに主力が揃うとクオリティが違うな。前線のD・オリヴェイラ、久保、永井に中盤の東、高萩、橋本が絡む攻撃は単発では無い連続性があった。
 先制は前半30分に右クロスを橋本が頭で合わせたものだったが、この選手も若手と思いきや今年26歳ともう中堅と言える年齢なんだな。他に小川もそうだが、東京はこれまで期待されながら伸び悩み、トップチームで試合に出たり出なかったり、時にはU23に出たり、といった選手がようやくポジションを確保したのが選手層の底上げに繋がっている印象がある。橋本は3月に代表デビューも果たしたが、ボールを奪ってからのダイナミックな展開力が、同じポジションを争うであろう川崎の守田(ショートパス主体のプレースタイル)と比較して、お互いの所属チームのプレースタイルそのままで面白かった。そもそも橋本が代表に呼ばれたのは守田が負傷辞退したからだし、そういった関係性含めて気になる選手。
 対する大分もカウンター時には鋭く相手ゴールに迫っていたのだが、全体的にボールタッチの正確さ、特にオナイウのポストプレーの上手さが印象深い。先日観たJ3の試合では個人のボールタッチやキック精度の粗さが目立っていたが、つい10年ほど前ならこうしたプレーはJ2でもよく見られた。勿論大分はJ2で2位、今季の補強もJ2トップクラスのタレントを集めた訳で一概に言えない面もあるが、もうJ2上位の技術レベルはJ1でも十分戦えるし、J2自体の底上げも成されているのを実感した。オナイウは前でボールを収めつつ周りに丁寧なパスを出し、後半にはゴールもゲット。今年でプロ5年目だが、昨季はJ2で22点、今季はJ1でここまで4点といよいよブレイクが近付いているようにも。二桁取れたら代表入りも見えてくるかな。いつだったか「ストライカーは(高卒)プロ5年目で覚醒」というような記事を読んだがまさにその通りのキャリア。

 試合は前半の終盤に久保が左から切り込んでシュート、これが決まって2-0で折り返し、後半は15分頃に前述のオナイウのゴールが決まり、これは2-2あるかなと思っていたのだが、ATに大分のCKからの流れで、大分の選手がパスミスしてこれを久保が拾い、そのまま無人のゴールに流し込んで3-1。これで勝負あった。

 久保はこれで今季4ゴール。コパアメリカの代表はJが中断しないので色々制約がある中で若手主体という選考だったが、そういった縛りが無くてもJ1首位チームの攻撃の柱として代表選出は当然と思えるようなプレー内容だった。ただ後半はさすがに疲労からかパスミスも幾つかあったし、何よりまだ17歳なので体に負荷を掛け過ぎないで欲しい所だが。

 そうそう今日はバクスタ2階で観ていたのだが、周りにやたら高校生の団体がいた。飛田給からスタジアムに向かう時も学校から直行したと思われる高校サッカー部の集団2組と遭遇したし、今日は高校生招待デーだったりしたのかな。そういう試合で同世代の久保が活躍したってのも何かの縁か。

J1第13節 横浜M×磐田(日産)


 5月で30℃越え。今日は13時開始だったがこうなると数年後にはGW明けからから夜開催がスタンダードになるかもしれない。5月でこれなら7月、8月は想像するだけで汗が吹き出そうだが、東京五輪は大丈夫かいな。
 まぁそれはさておき今日のスタメンも前節と同じ。中盤は扇原、喜田がWボランチ気味でマルコスがトップ下に入る形だったが、この試合でも4ゴールで快勝。何と言うか選手の特徴が上手く組み合わさって攻守の最適なバランスが見付かった状態、言わば「ハマる」布陣が見付かった感がある。やっぱマルコスはサイドよりも中央やや下がり目で自由に動き回るのが性に合ってるんだろうな。またこれにより左に入るようになった遠藤もまだ突き抜け切れない部分はあるものの、神戸戦で少し自信になったのかドリブルの仕掛けが以前よりは積極的になり、機能するようになった。
 そしてこの布陣だと三好をベンチに置いて切り札に出来る。今のマリノスはスタメンと控えの格差が大きく、ビハインド時に状況を打開出来るタレントがベンチにいなかったが、天野と合わせてそれが可能になった。また三好はやはりコパアメリカに招集されて少なくとも15、16節は出場できないので、三好不在時のオプションをここで使えるようになったのも大きい。
 今日はマルコス、エジガル、仲川がゴールそろい踏みだったが、これでマルコスが7、エジガル、仲川が4で計15ゴール。開幕戦の吹田スタジアムで友人と合流した時に、この3人で30ゴール以上なら上位行けると冗談半分で言ったのだが、13節でもう半分に到達。

 試合の展開としては4月のアウェイ浦和戦にも似ていた。浦和も磐田もマリノス対策はしてきたが付け焼き刃感は拭えず、押し込まれる中でどうにか耐えるも先制を許した後は堤防が決壊した形になって失点を重ねるという流れ。逆に大分、C大阪のようなしっかり組織が仕込まれてるチームにとっては、マリノス戦はいわば基礎を踏まえた上での応用編みたいなもので、そうしたチームには分が悪い。その意味で言うと、次節の湘南、16節の松本は同じ監督の下で長期間指導され、そのサッカーが浸透しているチームなので難しい試合になりそう。湘南とはここ最近の対戦は五分で常に1点勝負の試合になるし、松本も個人の能力から考えてJ1で苦戦は必至かと思っていたが今節もアウェイで名古屋を破ったり、勝点15で12位とかなり健闘している。

 今日は磐田サポが結構来ていたのも印象に残っている。アウェイG裏1階の半分くらい埋めていた。鹿島や磐田は地元だけで無く首都圏にもサポが多そうだが、静岡から来る人も13時開始なら陽が出ている内に帰れるのもあるだろうな。磐田は今季も残留争いになりそうな気がするが、名波氏は決して戦術家では無く、OBで固めたスタッフを束ねる大将でありマネージャータイプなので、辞めても(辞めさせても)更なる混乱を招くことになるのではないかな。コーチにOBでなくとも戦術に明るい人を呼ぶだけで大分変わると思うのだが。

J1第12節 横浜M×神戸(日産)


 これまでの味スタ、埼スタの神戸戦動員数から見ても今日は人が集まるのは予想してたが最終的に44210人。日産で4万を越えるのは久々だな。神戸戦では恐らく初めてアウェイゴール裏2階が開放されメインスタンドアウェイ寄りもあまり青くなかったところから見るに、イニエスタやビジャを観に来た層はこの辺りに座っていたのだろう。マリノスの場合、毎試合ホーム戦に行く訳では無いがたまには(年数回)行こうかという層が多く、そのスタジアムに足が向くトリガーがイニエスタだったりGW序盤という時期(鹿島戦)だったり隣町のJ王者(川崎戦)だったりという印象。ここまで平均観客動員は3万を越えているが、それは集客が見込める試合を序盤に多く消化した側面が強く、今後3万を越えそうなのは浦和戦とFC東京戦(最終節)くらいか。ラグビーW杯の影響でリーグ戦の三ツ沢開催が5試合あるのは(例年なら3試合)、平均観客動員を伸ばす上で痛い。
 で、試合はイニエスタ欠場という(笑)トーレスといい本当にこのスタジアムは大物に縁が無いな。ただしビジャはスタメンだった。08~12年頃のスペイン黄金期はとにかく全ポジションのレベルが高かったが、中でも中盤が作ったチャンスを確実に決めたこの選手がいなければ、それまでの様に(今もそうだが)、内容の割に点が取れず競り負けていただろう。
 序盤は神戸がやや押し気味でビジャも何度かボールに絡んでいたが、徐々に組織の体を成さなくなって特にサイドの裏をマリノスに突かれる場面が増えていった。イニエスタ欠場とは言え西、山口の現役日本代表や田中順也といった元代表、三田のような仕事人もいる中でそれが組織に昇華されていない印象。ショートカウンターから前半にマリノスが先制した後も、後半途中まではまだ試合になっていたが、マリノスの2点目が入った後は何か糸が切れた感じで更に2失点と。今日の神戸は3バックだったが、最終ラインの3人も個々で守っている感じだった。ダンクレーは良い選手だと思うが、それだけに尚更孤軍奮闘振りが目立っていたな。終了間際にウェリントンがクロスに合わせて1点返したが4-1でマリノスの勝利。神戸の唯一のゴールを見ても、1人で何とか出来るタイプのウェリントンの方がJリーグ向きで、ビジャには中盤やサイドからパス、(グラウンダーの)クロスを出す味方が必要だとは思った。その意味で今日はイニエスタと同じくらい古橋の欠場は痛かったかな。この選手は毎試合確実に一仕事こなすサイドアタッカーという点であのペドロを思い起こさせる。
 序盤に監督が代わった難しさはあると思うが、やはり吉田氏にはこのチームを率いるに荷が重い印象。またリージョの後はこの人を再任させるしかなかったという点で、外国人選手や監督の選考はオーナーのトップダウンで決まっていて、三浦アツ(SD)にはあまりそういう権限、人脈は無いのかなとも思う。

 マリノスは前節の完敗からこれまで固定化されていたメンバーを少し代えて中盤に扇原、マルコスが入り、CFにエジガルがスタメン復帰。神戸の出来に助けられた感もあったが、ベンチに三好を置いて切り札として使えたのが功を奏した。三好は簡単なシュートが決まらないというのが唯一にして最大の課題だったが、今日はシンプルな形から2ゴール。これがコンスタントに出せればまぁ来年には欧州に行くだろうな。やはりこのポジションの選手はシーズン二桁は決めて欲しい。トゥーロン国際に出るU22に名前が無かったので、おそらく代表に呼ばれるのだろうが、もしコパアメリカ組になったら15~16節は欠場、もしかしたら6/29の17節FC東京戦も出れなくなりそうなのはチームにとって痛い。
 U22と言えば遠藤も2アシストとようやくサイドアタッカーとして結果を残し、これで吹っ切れたのか終盤には左から切り込んで逆サイドポストをかすめるミドルも見せた。2ゴールを振り返ると、ショートカウンター向き、かつサイドに流れるより最初から中央に向かってプレーするのが合っているように見える。逆に普通にサイドを突破する場面ではバックパスや精度の低いクロスに終わる事が多く、サイドアタッカーならぬハーフスペースアタッカーとでも言うべき選手。既にマリノスで公式戦100試合以上出場と、これ以上無いほどチャンスを与えられてきたけど、ようやく自分の“型”が見付かったかな。この選手もトゥーロンには呼ばれてないので、もしかしたらA代表?三好と違ってまだJでも継続的に違いを見せている訳では無いのでそれは無いか。
 
 帰りは新横浜で軽く飲んで駅が空くのを待ってから帰ったのだが神戸の選手に何人か遭遇した。日本平の帰りに静岡駅でマリノスの選手に出くわしたこともあったが、遠征帰りは試合後2時間くらい置くものなんだな。キム・スンギュは間近で見るとかなり大きかったのが印象深い。

ルヴァン杯GL FC東京×仙台(秩父宮)


 この秩父宮での試合は前々から行ってみたかった。今年ここでサッカーが開催されるのはラグビーW杯で味スタの使用が制限される、言わばその代替だし、数年後には神宮とセットで建て替えという話もあるので、今のスタジアムでサッカーが開催される事は今後おそらく無いだろう。その希少な2度の機会の内、最初は三ツ沢のマリノス戦と被ったため(結局大雨で行かなかったが)、今日が最初で最後のチャンスだった。
 外苑前から青山一丁目方面に歩いてバックスタンドから入場したが、サッカースタジアムは大抵郊外の公園にあるので周りを囲むビルという光景が新鮮に映った。思えば旧国立がまさにそんな環境にあったが(バクスタ上段、聖火台付近から新宿の高層ビル群を眺めるのが好きだった)、建て替えが始まってからそんな感覚も忘れていたようだ。

ホームゴール裏の先には神宮球場、更にその先には暗くて分かりにくいが新国立が立っている。

 スタジアム自体はこれまで座席の更新などはされてきたのだろうが、基本的には昭和時代に建てられた日本の球技場の特徴を備えている。

 いつも不思議に思うのだが、何故日本の球技場はメインスタンドが四角形ではなく、このように上隅が切り取られたような形状だったり、曲線を描いたりしているのだろうか。他に三ツ沢や日本平もそう。それがその当時の流行だったとか?
 今回自分が座ったのはバクスタだったが、なだらかな角度の大きなスタンドで、こういう大きい一層式のスタンドはキンチョウスタジアムのメインスタンドもそうだが迫力がある。着いたのは開始10分程前だったが、試合前のユルネバのマフラーの掲げ具合から見るにバクスタ内で普段から味スタに通っているであろう人は前方を中心に座ってるようだった。

 ルヴァン杯は他のグループの状況を殆ど把握してなかったのだが、このBグループは仙台が首位で勝点4差で東京が追う。東京は今日勝っても仙台は抜けないが他の2チームの状況を考えるとGL突破が近付く故か5/3のリーグ戦のスタメンを6人出してきた。林、太田、小川、橋本と後ろの選手が多かったのだが逆に攻撃陣はD・オリヴェイラ、久保、東の不在が大きく、前半は単調な攻撃に終始。永井はスタメンだったが、この選手はディエゴや久保と組んで良さが出るタイプで、自分で攻撃を作り出すようなタイプでは無い。スピードはあるが、今日のような縦ポンばかりだとさすがに仙台も先を読んで対処出来る。仙台は5/3からスタメン総入れ替えでコンビネーションには多少難があったが、石原、長沢、兵藤、梁勇基といった経験豊富な選手がいるので安定した戦い振りだった。
 後半は久保を入れてきたのだが、早速ドリブルで1人抜いてボールを相手陣内深くまで運んだり、違いを作り出していた。長谷川サッカーはこういう前のタレントに依存する部分が大きいな。ガンバ時代も中盤に遠藤、倉田、阿部と技術のある選手がいるから目立たなかったが、基本は引き気味で前の宇佐美&パトリックの決定力で勝つというサッカーだったし。今はそれが久保&ディエゴと。ただ久保は今夏に欧州に戻るという話もあるし、加えて9月中旬からラグビーW杯の影響でアウェイ8連戦もある。ここから攻撃陣でブレイクする選手や途中加入で刺激を与える選手が出てこないと厳しいとは思う。
 そのブレイク候補として今日は田川がスタメンだったが、あまり見せ場は作れず。後半開始早々には仙台GK関と衝突するシーンもあった(これで関は交代)。U20W杯メンバーにも選ばれたが、どうも未だ自分のプレースタイルを確立し切れて無い感が。鳥栖で試合に出始めた頃は主に左サイドから切り込むスタイルで、若い頃の矢野貴章みたいなタイプ(長身でCFタイプと思わせて実はスピードがあり3トップのサイドで活きるアタッカー)なのかとも思ったが、その後はクラブでも代表でも2トップの一角だったりCFだったりとポジションが定まっていない。結局の所アタッカーの価値は点に絡んでナンボなので、今のままだとゴールもアシストも記録出来ず燻ってしまう懸念もある。後、恵まれた身体能力を生かし切れてないという点では若い頃の伊藤翔を思い出したりもした。
 後半半ばにはディエゴも入れて東京が何度かゴールに迫ったが関に代わって入った川浪の好セーブもあって点は生まれず、そのまま0-0で終わった。自分が座った場所からは神宮のスコアボードも見えたのだが、後半半ばに7回裏の攻撃で、終了時間が被ったら帰りは混むなと思いながらの観戦だった。幸いまだ神宮の方は終わっておらず、外苑前駅と表参道までが多少混んだくらいですんなり帰れた。