カタールW杯最終予選 日本×豪州(埼スタ)


 かなり久々のA代表戦観戦。最近はチケ取りに参戦する事も稀でTV観戦が当たり前になっていたのだが、1週間ほど前に友人から誘いがあって行くことになった。その後のサウジ戦の結果で余計に現地に行かなければという思いが増したな。
 久々の代表戦と書いたが前回は丁度4年前、17年10月のハイチ戦だった。4年置きにW杯が開催されるサッカー界においては「一昔前」と言うに等しい。当時はリオ世代がようやく代表に定着し始めた時期だったが試合に絡んでるのは井手口、浅野くらいで、他に例えば遠藤航は招集されてもあまり出番が無いメンバーの1人だった。それが今や不可欠な主力になってるんだから、やはり4年という月日の長さを感じる。

 先日の湘南戦同様、今回は赤羽の3rdオフィスで仕事してから余裕を持って埼スタへ、と思ってたら仕事が長引いて結局着いたのは前半5分頃になってしまった。だが席に着いた直後に田中碧の先制点が決まった。今日のスタメンを見て中盤3枚か田中碧トップ下なのか分からなかったがやはり中盤3人で前は右伊東、左南野に中央大迫という構成。急造感はあって特に前の連携はあまりスムーズでは無く、故に前半の半ば以降は豪州にボールを持たれる時間が増えていったが、やることがシンプルに整理された印象はあった。中盤が相手の攻撃をブロックしつつ前にも飛び出し、両サイド、特に右の伊東を走らせるという動き。遠藤、守田は守備専のイメージが強いが、実際は機を見て前に飛び出し点も取れる中盤の万能型。また田中と守田は川崎で去年同じ様な役割をこなしていたのも特に連携面で大きかったかもしれない。
 両サイド、特に右の伊東と書いたが、南野は先制アシストとなったクロスや前線での守備の貢献はあったとは言え、全体的には左サイドを浮遊しているという印象だった。リバプールではリーグ戦であまり出番が無いが、この辺がネックになっているのかな。クラブでも3トップでサラー、マネ、フィルミノ、ジョッタらが前線で個性を出している中でその点がやや希薄というか。

 前半を1-0で折り返し、後半早い段階で2点目が取れれば4年前の同じ埼スタの豪州戦みたく完勝コースだなと思っていたのだが、後半半ば過ぎに守田のファールでPK判定、これはVARでエリア外と判定されて直接FKとなったがこれを決められて追い付かれた。このゴールの後、トラップミスやキックミスなど守田の動きが明らかに精彩を欠くようになったのだが、あのファールをかなり引き摺っていたんだろうな。柴崎と交代したのは良いタイミングだったと思う。柴崎はサウジ戦はかなり不出来だったが、パスで試合のリズムを作ろうと気負いすぎて空回りしている印象があった。遠藤保仁の後継者とずっと言われてきたが、本来は田中碧のようにインサイドハーフでも十分機能する選手だと思う。以前中村俊輔がこの選手を「あの子はボランチじゃないよね。トップ下か3ボランチの右とかで生きる。」*1と評したことがあったがその辺の観察眼はさすがと言うしか無い。
 追い付かれはしたが、今日の日本はまだチャンスはあると思わせる内容だったし積極性も失われていなかった。交代で中央に古橋、左に浅野が入り、両サイドの突破と古橋の裏抜けの動きでシンプルに相手ゴールに迫る。そんな中で最終ラインからのロングボールを浅野がエリア内で上手くトラップしてシュートしたボールが最後はポスト→相手と当たって入り、ついに勝ち越し。やっぱ埼スタの予選はホームエンドで終盤何かが起こるよなぁ。目の前で観たドイツW杯予選のオマーン戦久保、北朝鮮戦大黒、そしてバーレーン戦でのサルミーンのOGにブラジルW杯予選豪州戦での本田の同点PK。ここまで3試合は戦力を有効に活かせず空回りして勝点を落としてきたが、これでいつもの予選が戻ってきた感覚があった。AT4分も危なげなく守り切って勝利。

 古い話になるが、フランスW杯予選のホームUAE戦を思わせる試合だった。24年前のUAE戦は結局1-1で終わってカズ生卵事件などもあったのだが、あの試合から北澤が復帰してトップ下“辺り”に入ることでその豊富な運動量で中盤が活性化され、ジョホールバルに繋がる大きな転換点になった。今予選はここまで超保守的な起用だったのが、ここに来て田中碧スタメン、古橋の中央での起用、そして終盤の高さ対策で長友に代って中山と理に適った起用、交代策。本当に同じ監督かと思うが、森保さんも追い込まれて吹っ切れたのかな。
 フランスW杯予選と違って次の試合は1ヶ月後だし来年まで長丁場の戦いなので、途中主力の負傷や出停など色々アクシデントはあると思うが、ここまでの重苦しい空気を変えた意味でも突破を争う豪州に勝ったという意味でも大きな1勝だった。豪州とは毎回予選で当たっているが、年々対戦成績は向上して前回は1勝1分だったんで、今回は(もはやそれが必須ではあるのだが)ダブル達成を。

 思えば埼スタ行くのも去年のゼロックス杯(20年2月)以来だった。家に着いたのは0時前だったが、まぁとにかく勝って良かった。