出場・招集記録から当時を回顧する(トルシエ時代)

 前回の更新から1ヶ月近く経った。4月にはJも再開されるだろうと思っていたのだが、現時点で5月の再開も怪しい状況。12月~2月のシーズンオフ期間を除いてこれほど観戦間隔が空くのは本格的に観に行き始めた2001~2年頃以来初めて。いやオフ期間入れてもそろそろ“無観戦最長記録”を更新してしまうかな。
 このような状況で、このblogを始めて以来守ってきた「最低月1は更新」ペースを守る為に何か書こうと思うのだが、前回の様な旅行記は今は出来ない中で、サッカーについて記録を振り返り、思い付いたネタを書いてみたい。

 ここ数年代表戦の記録で興味があるのはそれぞれの試合の招集メンバー情報。試合に出れるのは公式戦で最大14人、親善試合でも17人なのでベンチ入りするものの出場機会の無い選手も出てくる訳だが、そうした記録を見ると意外な選手が呼ばれていたり、ついにAマッチ出場の無いまま引退する選手もいたりなかなか興味深い。一定期間通してみると監督の信頼厚い選手、そうでない選手が見えてきたりもする。幸いなことに協会のHPに招集メンバー情報が載っているのだが、古い試合になる程背番号(ここも知りたいポイント)は載っておらず、そこはネットで当時のニュースだったり記録を載せてくれている個人ページなりで補足するしかない。今回(次はあるかは分からないが笑)はトルシエ時代、つまりフランスW杯後から日韓W杯まで。

■記録

・期間:1998年10月~2002年6月
・勝敗:54試合24勝18分12敗
    (選抜、クラブチーム相手の4試合を含む)
・招集:104名
    (候補メンバー含む)

■年別概観
・就任~1999年
 就任から1999年まではAマッチ8試合のみ。これは当時トルシエU20やシドニー五輪代表監督も兼任していた為、そちらに注力していた面が大きい。次回W杯が自国開催であるが故にそうした日程も可能になったと思うが、試合数の少なさによる収益面での影響も、当時は五輪代表が人気、実力共にA代表を越える勢いだったから(特に予選で中田ヒデが加わってからは)、五輪最終予選などは国立は満員だったし、ある程度カバー出来ていたと思われる。(そう考えると今更だがW杯予選を戦う中で兼任させている現在の判断はどうなのかという気もするが。)
 招集メンバーはフランス大会メンバーを中心に五輪代表資格の無い25歳前後の若手を試すという感じだったが99年6月のコパアメリカを最後に長年代表の最終ラインを統率していた井原が代表から外れ、代わりに森岡がDFリーダーとなるなど、フランスW杯のレギュラー組は徐々に代表から外れていった。ただこの時点で井原32歳、秋田29歳、相馬28歳とそこまでベテランという訳でも無い。今で言うなら吉田麻也酒井宏樹、原口、柴崎らと同じくらい。やはりこれはシドニー世代のレベルの高さというか、この世代の前と後でレベルに大きな違いがあったというのが大きいかな。トルシエU20や五輪代表で若い選手を見てそのレベルの高さを実感していただろうし、またフラット3を始め自分の戦術をこなすにはより若く吸収力のある選手が望ましいという事情もあっただろう。

・2000年
 五輪世代が本格合流するのは2000年になってから。1月のカールスバーグ杯(香港)で松田、稲本など大量7名が代表デビュー。春まではホーム中国戦引き分け、アウェイ韓国戦敗戦などでトルシエ解任騒動があったと記憶しているが、6月のハッサン2世国王杯でフランスに△2-2、ジャマイカに快勝という結果で一気に風向きが変わり、シドニー五輪本大会を経て昇格した五輪世代に、川口、楢﨑、名波、服部、森島らフランス大会の生き残りが加わってアジアカップのチームが作られていった。この時のメンバーを見ると右サイドに望月を置いたり、テクニックをベースにした選手選考が覗える。アジアカップもGLでサウジに4-1、ウズベクに8-1など攻撃力を発揮して見事優勝。

・2001年
 この年は初っぱなにサン・ドニでフランスに0-5大敗するのだが、これがW杯に向けたターニングポイントになったかな。この試合以降波戸や戸田、鈴木隆行といったフィジカル、守備、走力に特長のある選手が呼ばれるようになり、より手堅いサッカーになった印象がある。それでチームを再構築してコンフェデ杯で準優勝、11月のイタリア戦も引き分けと前年と全く違うチームで結果を残したが、今にして思えばチームのピークはこの辺りだったんだろうな。ちなみにこのイタリア戦は川口、楢﨑が負傷欠場して曽ヶ端が代表初出場し、また私が初めて観に行った代表戦でもあるのだが、試合前の練習で招集メンバーにいないはずの南雄太がいて不思議に思った記憶がある。今回調べてみると、楢﨑が当日になって負傷した為に急遽呼ばれたらしい。
 フランス戦からよく立て直した年ではあったが、この路線変更で一番割を食ったのが中村俊輔ではあったな。アジアカップは名波とのコンビでチャンスメーカーとして機能したが、この年は怪我等で招集そのものが少なかったり、呼ばれてもベンチという試合が多い。

・2002年
 W杯イヤーは1~3月と毎月候補合宿を行って徐々にメンバーを絞り込む形。トルシエ時代を通してそうだが、当時は代表戦前に候補合宿をして試合向けにメンバーを絞り込む事が多い。今より日程に余裕があり、また海外組も殆どおらず、「W杯のために」という大義で多少の無理も押し通せた時代ならではという印象。1月の候補合宿には帰化した三都主の他、アテネ世代から阿部勇樹前田遼一も招集されていた。
 その後ウクライナ戦から始まってW杯迄に8試合戦う訳だが、ここでメンバー入りに向けて一気に巻くってきたのが三都主の他に市川と小笠原。途中出場も多いが市川は8試合全て、三都主、小笠原は7試合に出場しておりトルシエの期待が覗える。中村俊輔にとって特に左サイドアタッカー三都主プレーメーカーの小笠原が台頭したのは厳しい結果になった。最終的にその落選は大きな衝撃を以て報じられたが、起用を見る限りその予兆は覗えるのも事実。特に最後の欧州遠征(R・マドリー、ノルウェー戦)で負傷欠場したのも痛かったかな。
 最終メンバーには中山、秋田のベテランがチームのまとめ役として入ったが、秋田のメンバー入りによって押し出された形なのが中澤。ただ最後の欧州遠征にも選ばれていたとは言え、当時フラット3の右は松田が盤石で、この選手の出場機会は多くなかった。守備の大黒柱として覚醒するのはもう少し先の話で当時はまだ当落線上の若手という位置づけだったように思う。
 意外だったのは最後の遠征メンバー、つまり最終候補としてMF奥大介とFW山下芳輝も入っていたこと。奥はトルシエ緒戦のエジプト戦で代表デビューして以来継続的に呼ばれ続けており、実はトルシエの信頼も結構あったんだなと。また山下は記録を見るとこの年仙台に移籍して10ゴール決めており、実はW杯メンバーに近い位置にいたのを知った。また継続的に呼ばれていたという点では伊東輝悦もそうで、この年の初めに負傷してしまいメンバー入りはならなかったが、この選手もエジプト戦から継続して呼ばれていた選手の一人。

 そしてW杯本大会だが、結果は周知の通りなので今更言うまでも無いが、あの1ヶ月間は本当に夢のような日々というに相応しい時間だった。去年のラグビーW杯もそう形容されていたが、個人的には若かった分あのインパクトに勝るものは無い。ただTVで観るだけでは無く、大学での出会いによって様々な楽しみ方を教えて貰ったというのもあるし。今回記録を付ける為に当時のニュースなどにも触れて、あの時の記憶が蘇ってくるのも楽しい一時だった。

 これを調べる為に時間と手間が結構掛かるので次回あるかは未定(笑)

京都行

 元々この3連休は3/21に新しく出来たサンガスタジアムに行く予定だった(京都×群馬)。しかし新型コロナの影響で3月の試合が全て延期されてしまってキャンセルも考えたが、折角の連休だし、京都も海外からの観光客が激減して人も少ないという話なので行くことにした。試合に合わせる必要が無くなったので日を3/20にして。

 普通京都に行く時は新幹線だが、今回は飛行機で。今回周るルートを考えて当初の新幹線から変えたのだが、羽田伊丹便でも数日前に窓側席が取れてしまう辺り、やはり長距離移動に関して相当人が減っているのだろう。伊丹に付いた後はモノレールで終点門真市駅まで向かい、そこから京阪線で最初の目的地石清水八幡宮まで。山の上にあり、駅からケーブルカーを利用。

石清水八幡宮
近くには京都市街を一望出来る展望台もあった。
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男山展望台
この辺りは宇治川桂川の合流地点で高速道路も走っており、かなり複雑な地形をしている。川の対岸が大山崎。ここからでも京都タワーはよく見えた。

 山を下りた後は再び京阪線に乗って宇治に向かい、まずは宇治上神社宇治神社を参拝。

宇治上神社
宇治神社
この二社は隣接しており、一対の存在という。参拝後は川を渡り、対岸にある平等院へ。
宇治川
平等院
ここは中学の修学旅行で行ったのは薄っすら覚えているが、雨が降っていたこと以外詳細は殆ど記憶に無い。この鳳凰堂だけでなく境内の庭園全体が見事だった。この後は土産に茶を買ったのだがこの時点でまだ13時半だったので京都市内へ。市内も未踏の地を中心に、ということでまずは龍安寺。ここは電車だと乗継ぎや徒歩で時間が掛かるが、京都駅前から目の前まで行くバスがあったので乗車。やはり京都市内を周るならバスか自転車だな。
龍安寺石庭
さすがにここまで来ると人もそこそこ多かったが、連休の割にという規模でもあった。欧米からの観光客がそこそこいたのは意外だったが。

 近辺には金閣寺仁和寺もあるがどちらも行ったことがあるのでこの後は晴明神社へ。ここもバスで乗換無しで行くことが出来る。

晴明神社
それほど大きい社ではないが、特徴ある面白い場所。安倍晴明というと術を用いる陰陽師のイメージが強いが、実際は天体観測をベースにした占いを生業とする人物。当時の人にとって占いが当たるのは人知を越えた不思議な力を持つと思われたんだろうけど、そのイメージが膨らんで魔法使いのような存在となるのは、西洋において錬金術師が魔術師扱いされるのに似ていて面白い。

 既に日が傾いていたが、最後は祇園へ。ここも実は行ったことが無かった。まずは白川筋を散策し、

祇園白川
花見小路へ。
花見小路
何だかんだ京都に行くと歩き倒してしまう。この日も25000歩。最後はバスで京都駅に戻り、新幹線で帰宅。かなり減便しているとのことだったが、それでも自由席は半分程度しか埋まっていなかった。

J1第1節 横浜M×G大阪(日産)


 マリノスの公式戦は今日までに既に2試合観てるし、昨日も観に行ったのであまりシーズン開幕!という感じはしないがようやく開幕戦。ACLの影響で日曜開催となったが、奇しくも去年の開幕戦も2/23だった。相手も同じガンバ。
barcaw.hatenablog.com
この試合は開始直後にいきなりミスから先制されるも前半の内に逆転し、点の取り合いの末に3-2で打ち勝つ結果となったが、内容的に前シーズンとは明らかに違うボールの回り方で期待を抱かせるものだった。

 そして今日も前半早々にマリノスDFとGKのパス回しのミスを突かれてガンバが先制。このシーンに限らず今日のガンバは前から積極的にボールを追ってGK朴から簡単にフィードさせず、対マリノスで色々準備してきたんだろうなというのを感じさせるプレーが多かった。例えば(特に前半は)GK東口がゴールキックや前線にフィードする際は、1トップの宇佐美は必ずCB伊藤に付き、東口も伊藤の正面では無く横のスペース目がけて蹴っていた。これで何が起こるかというと、伊藤からしたら横に流れつつ(そして宇佐美をケアしつつ)ボールを処理しなければならなくなり、結果、前に跳ね返すのもままならず外に出してしまったり、宇佐美にボールを収められてしまう、というシーンが何度もあった。
 また守備面でも準備してきたのが覗えた。マリノスの攻撃の鍵はボール支配率ではなく、ハーフスペースと連携でゴールライン際まで侵入し、そこからグラウンダーのクロスを中に入れて中央で合わせる、というのが典型的なパターンだが、4バックでSBと中盤でサイドの守備を厚くして、そのスペースにマリノスのアタッカーを侵入させなかった。その結果、マリノスは浅い位置からのアーリークロスがメインになって、そういうクロスでは三浦、キム・ヨングォンの壁を破るのは難しい。また中に切り込んでもガンバ守備陣はシュートコースを消すなどかなり集中して守っていた。これもおそらく事前に想定していた攻撃であるが故に守る方も割り切っていたのだろうと思う。

 去年の試合は前半でマリノスが逆転したのだが、今日はガンバが追加点。東口のフィードに抜け出した選手からのクロスから最後は矢島が合わせたのだが最初はオフサイドの判定だった。しかしVARチェックにより抜け出た選手がオンサイドと確認されゴール認定。昨日に続いて2連続でVARに遭遇したがこれはもう1試合に何回かは起こり得ると考えるべきだろうな。思えば去年の仲川の1-1に追い付く同点ゴールは厳密にはオフサイドで、もしVARがあれば結果は分からなかった。これも何かの因果か・・・。

 後半は開始直後にオナイウが決定機を迎えるが枠を外し、25分頃にもマルコスが至近距離からグラウンダーでゴールに流し込もうとするもコースが甘く東口がキャッチとビッグチャンスを2度逃した。ただ後半半ば過ぎからガンバも運動量が落ちてきてゴールライン際まで侵入出来るようになったし、喜田→エリキの交代で前線に5人並べて(中盤は扇原が一人で頑張る)前から圧力を掛ける布陣も奏功してガンバを押し込んで行った。そして30分過ぎにマルコスが反転シュートをゴール左上隅に決めるゴラッソで1点差に迫った。その後も攻め込んだが点は生まれず1-2で敗戦。

 後半は押し込んでいたし、地力があるのは間違いないが、ACLとの両立の影響も感じさせる試合だった。ガンバに対策された以外にも単純なパスミス、トラップミスがいつもより多かったかな。シドニー戦からGK以外メンバーを代えずに今日を迎えたが、今は敢えてオナイウを機能させる為に起用しているのだろうか。ベンチにエリキ、エジガルがいるのは大きいが、それ以外で違いを作れるタイプは実はそんなにいない。また今日の前半のようにサイドのスペースを封じられた場合の打開策の1つとして中央からミドルという手もあるが、今のメンバーにそれが出来るのは強いて言えばマルコスぐらい。喜田はエリアのすぐ外の中央でボールを持つシーンが何度かあったがこの選手は左右に散らすことは出来てもミドルは年に1度あるかどうか。また後半は扇原がエリア外から打っていたが、ブレ球FKは蹴れても元々ミドルを打つタイプではない。

 今はまだ序盤戦だが、シーズンが進むにつれて新戦力をどう機能させるか、見かけほど厚くは無い選手層をどうやり繰りするかが監督の腕の見せ所になるな。最初あまり開幕戦という感じがしないと書いたが、こうして振り返るとやはりシーズンが本格的に始まったことを実感してしまう(笑)

 

J1第1節 川崎×鳥栖(等々力)


 マリノスの開幕戦は日曜なので今日は等々力に行くことにした。最初は指定が完売していたのでDAZNで他の試合と切り替えつつ流し見かなと思っていたが、数日前にリセールを見たら何枚か出ていたので購入。これはなかなか使えそう。ただこれが機能するのはフロンターレと等々力ぐらいの動員力、スタジアム収容規模でこそ、かな。マリノスの場合、スタジアムは大きすぎる日産スタジアムと小さすぎる三ツ沢というアンバランスな関係で、日産の試合でリセールを利用するのは(年チケ会員として売りに出して買い手が付くのは)、それこそ去年の最終節のような試合ぐらいだろうし、三ツ沢の土曜のリーグ戦なら大争奪戦になって数日前に行きたいと思って買えるような状況にはならないだろう(そしてダイナミックプライシングで価格もかなり上がる)。

 開始15分程前に着いて試合が始まったが、序盤から川崎が押し気味の展開。去年はL・ダミアンをどう使うのか試行錯誤し、層の厚いメンバーを持て余していた印象があったが、今年はここまで2戦連続でダミアンをCFに置いて両サイドに選手を置く布陣なのでこの選手を軸にするのかな。中盤も3枚になったが、元々このチームは本当の意味での“ボランチ”(=攻守に機能するMF)やインサイドハーフに適性がある選手が多いので、去年までのような中盤下がり目に2枚だと勿体無かった。何度か惜しいチャンスはあったが前半は0-0。
 後半は開始早々にダミアンが決めて先制、と思ったがVARで取り消し。開幕前はVAR判定で映像も流れるという話で実際昨日の湘南×浦和でも流れたが、今日は無し。試合後に試合を視聴していた友人からダミアンが半身オフサイドだったと知った。
 これで少し流れが変わり、鳥栖が押し返すようになったかな。特に後半途中から入ったチアゴ・アウベスは右サイドから仕掛けて危険な匂いを発していた。鳥栖も開幕前は特に目立つ補強も無く(強いて言えばこのチアゴくらい)、上積み要素が無いので厳しいかと思っていたが、実際押されつつもワンチャンスをものにして勝ってもおかしくない内容だった。今日は松岡、本田の2人のアカデミー出身者がスタメンだったが、ここのアカデミーはここ数年九州ではトップレベルでU15では全国タイトルを獲っているし、かなりレベルが高い。今日のスタメンの2人はこれまで鳥栖にいたタイプ(高さと走力とフィジカルで勝負)とは違ってあまり大きくは無いが運動量と技術があるタイプなので、いかにチームで機能させるかが鍵になるだろうか。まぁそうは言ってもJ1に残留するには何よりチアゴ、趙東建、豊田といった選手がどれだけ点を取れるか、だとは思うが。
 川崎は後半半ばに両サイド2人を一気に入れ替えたが(家長、長谷川out→三笘、旗手in)、ちょっと両サイドの手詰まり感があった。去年から感じていたが、各チームが対川崎の守備(エリア内、自陣サイド深く人を置いてパスコースを消す)を徹底するようになって川崎から見て敵陣サイド深くまではボールを運べてもそこからなかなかゴール前にボールが渡らず、支配率ほどチャンスが作れていない。また前線を3人にするならCFだけでなくサイドにも一定の得点力が求められるのはマリノスも見ても然りだが、二桁取りそうな選手がいないんだよな。家長は基本チャンスメーカーだし、長谷川もドリブルでチャンスメイクするタイプでゴールは多くない。
 そんな中で長谷川に代わって左サイドに入った三笘はなかなか面白い選手だった。長身で技術があってドリブルでボールを運べる。長谷川は俊敏に動いてもどうしてもリーチが短く相手に対応されてしまう厳しさがあったが、長いストライドでのドリブルは鳥栖DFも手を焼いていた。筑波大から入ったのは知っていたが、元々川崎のアカデミー出身だったんだな。川崎のアカデミーはこの三笘(97年度の生まれ)の少し上の世代から急に伸びてきた印象がある。今日スタメンだった脇坂(95年度)、田中(98年度)、そして今欧州にいる三好、板倉(96年度生まれ)など。彼らが小学生の頃は丁度フロンターレは再昇格して一気にリーグ上位、カップ戦準優勝とかしていた時期なので、当時川崎に引き付けられた子供達が約15年経って成長して今に至る、ということなんだろうな。因みに彼らは皆川崎や横浜の出身だが、丁度同世代でマリノスアカデミーからトップに昇格した選手の出身が、横須賀、藤沢方面に多いのは偶然ではないと思っている。
 
 試合は終盤川崎が押し込んだが0-0で終了。上で述べたように、川崎は序盤は我慢の展開が続きそうな試合内容だった。試合後はすぐスタジアムを出たのだが、目の前にある野球場が大分組み上がっていた。

 これが完成したら陸上競技場のバック、両ゴール裏スタンドの改築計画がスタートかな。完成は早くて3~4年後ってところか。

ACL GL第2節 横浜M×シドニーFC(日産)


 リーグ開幕前に公式戦3試合目、かつ観戦(マリノス戦)は2試合目。このスタジアムに行くのは2ヶ月ぶりだが随分と時間が経ったように思える。今日はそこそこ冷え込んだが、この時期の割に、という感覚もあった。2月の試合ならいつもの冬の日の格好+αの全身防寒でスタジアムに行くが、そこまででは無かった。やはり暖冬ということか。着いたのはスタメン紹介時で、座ってすぐに選手入場。やはりAFCのアンセムはいつ聴いてもいい。

AFC Anthem

 試合は序盤こそシドニーが意外なほどボールを繋いできてマリノス陣内に攻め込むシーンが何度かあったが、すぐにマリノスがボールを支配し押し込む展開になった。そして前半だけで3-0。オナイウの移籍後初ゴールが生まれ、仲川も今季初ゴール含む2ゴールと。押し込みつつコンスタントに点も取ってリードを広げるという意味で去年のリーグ最終節に近かったな。
 後半も流れは変わらずオナイウが2点目を決めて4-0。その後は最後のツメが甘く追加点は奪えなかったがACLでこのスコアは上出来。GK梶川、CB伊藤がACLで戦えるレベルにあるのが分かったのもチームにとって収穫だった。今季はまだ公式戦3試合目だが、去年の終盤から序盤に先制、前半の内に追加点を奪って主導権を握る、というのがパターンになりつつある。後半に反撃を受けても、前掛かりになった相手の裏を突いて更に追加点を奪って試合を決める、という。一方でこの前のスーパー杯では三度リードされてその度に追い付きはしたが、先制されたのが最後まで響いた(勝ち越しに至らなかった)、とも言える。さすがにJリーグでは相手が全北やシドニーの様に初物に面食らうことはないと思うので、どう対策してくるかというのが楽しみだったりする。

 実はシドニーFCは去年も観ていた。同じACLのグループリーグ第2節、川崎との試合。
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 選手で知っていたのはドイツ人MFのアレクサンダー・バウムヨハンだけだった。シャルケで育ち、若い頃は天才MFとして嘱望されていたが、怪我もあって伸び悩んだ選手、という経歴よりもその名前の格好良さで記憶しているのだが(笑)今豪州にいるのか。試合を観ていて気になったのは中盤下がり目にいた長髪の選手。遠くからで背番号もよく見えなかったが20番台だったので26番のブラッタンという選手だろうか。見た目からは走力やミドルシュートが武器に思える選手だが、技術があって囲まれてもボールキープして前に運べる技術があった。イングランド生まれだが生後すぐ豪州に渡り、そこでキャリアをスタートさせ、マン・Cにも在籍経験があるらしい(出場は無し)。A代表歴は招集が一度あるのみということなので、日本で言うところの梶山、高萩の様な立ち位置の選手だろうか。

スーパー杯 横浜M×神戸(埼スタ)


 新シーズンの幕開け。毎年のサイクルとして年が明けてから1ヶ月半ほどしてこのスーパー杯があるイメージなのだが今年は2/8であっという間に新しいシーズンが始まったという感覚。前回この大会に行った時は2月の下旬だった。
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調べたら18年から2/10前後の開催に早まっていたと。ACLとの日程調整でこうなったのかな。まぁ広いアジアで欧州CLの様な統一的なカレンダーは難しいのは承知してるが、理想を言えば今年のカレンダーなら2/15か22にスーパー杯、その翌週にリーグ開幕、そしてリーグ戦を数試合戦った後にACLという流れならすっきりする。

 それはともかく今日の試合だが、神戸は元日まで試合があって始動が遅かった分コンディションやチーム作りの進展はマリノスに分があると思っていたのだが、前半は神戸の方がチャンスを作る展開。マリノスはボール支配率でやや上回ったが神戸は危険なエリアで人数を掛けてしっかり守り、ボールを奪った後はシンプルにボールを繋いでマリノス陣内に攻め込むというサッカーでチャンスを作り出していた。天皇杯決勝と同じく、やはりドイツらしい切り替えの早いサッカーだな。CKから先制と思われたシーンはVARチェックでノーゴール、その後イニエスタのパスをオフサイドラインギリギリで抜け出たドゥグラスが決めて先制(ここでもVARチェック)。マリノスは前半の内に追い付くが(これもマルコスがボールを押し込んだ直前に、GK飯倉と仲川?が接触してファールだったのではというチェックが入った)、前半終了間際に最終ラインとGKの連携ミスから古橋に無人のゴールに流し込まれて神戸が再び勝ち越し、前半が終わった。マリノスの2失点目は絡んだのが新加入選手という訳でも無く朴、畠中、チアゴというレギュラーメンバーだっただけにどうなのかという場面だった。

 後半はマリノスが押し気味に進め、サイドから何度もチャンスを作る。後半早々に左サイドの折り返しを扇原が合わせて2-2。ただ神戸もカウンターで何度かマリノスゴール前に迫り、後半半ばに山口蛍のゴールで再度勝ち越し。この得点もそうだが、今日のマリノスは中盤でボールを奪われ、相手に前を向いてスピードに乗られる場面が多かった。まだコンディションが100%ではないとは言え、4日後にACLな訳でどうもこの辺の緩さは気になるところ。まぁ攻撃面は去年と変わらぬ切れ味があったが、仲川はさすがにマークも厳しくなって狙った形でボールを受けられず、上手く守られてシュートコースを消される場面も多かった。それでも終盤に何度か決定機を作り出したのはさすがだったが。
 山口のゴールから数分後にはエリキのゴールで追い付いて3-3。4点目が生まれそうなシーンはあったがこのまま試合は終わってPK戦へ。

 で、PK戦なのだがお互い2人目までは特に変わったところの無い展開ではあった。先攻のマリノスは1番手のチアゴが強烈なキックを左上隅に決めたのが印象深い。このメンタリティが3人目以降にもあればなぁ。3人目以降は↑の写真の通り、マリノスが外せば神戸もそれに付き合って9人連続失敗。プロの公式戦でこれはマジでギネスに載るんじゃないかね。最後の方はもうどっちが勝とうがどうでも良くなった。最後は山口蛍が決めて神戸がタイトル獲得と。
 実はマリノスはこのスーパー杯は過去3度出場しながら1度も勝ったことがなかったのだが、そのジンクスは今回も継続と。先に述べたように攻撃は今年も機能するだろうし層も厚いが、中盤以下のポジションがACLとの掛け持ちに堪えられるかどうか、ってところだな。特にチアゴ、畠中に続く第3のCB、喜田、扇原に続く中盤。先月石垣島キャンプを観に行った友人によると京都から獲った仙頭はなかなか良かったとのことなので、この選手はマルコスの負荷を軽減する役割になるだろうか。新加入選手では水沼(今日は終盤に途中出場)はちょっと今のマリノスのサッカーではハマるポジション無いんじゃないかと。この選手は献身的に中央~サイドと幅広く動いて、周囲と連携しながら攻撃に絡むタイプだが、マルコスのようにトップ下でゴールを量産するというタイプでは無いし、扇原のように攻守を繋ぐインサイドハーフでも無い、また前線でも仲川のようにサイドから独力でチャンスメイクしたり遠藤のようにスピードがある訳でも無い。アカデミー出身者の復帰ということで今はまだその帰還を歓迎するムードが勝っているが、実のところ谷口と同じく(この選手もアカデミー出身としてマリノスに“復帰”した選手だった)使い所が定まらない結果になってしまうのでは?

 やはり実際にこの眼で試合を観ると色々と思い(妄想)が膨らむな。帰りは代々木のらすたでラーメン食って帰宅。

いわき行

 試合の無い今の時期は土日どこかに出掛けたくなる。去年は千葉や甲府方面に行ったが今年は少し遠出していわき方面に行くことにした。思えば福島の浜通り地方に行くのは06年にドイツW杯の直前合宿を見にJヴィレッジに行って以来。
 最初は具体的な行き先は特に考えてなかったのだが、いわきへ向かう特急内でふといわきFCがかなり豪華な練習施設を持っているのを思い出した。実は以前友人に一緒に観に行こうと誘われたのだがその時は都合が合わず行けなかった。調べるといわき駅の2駅手前、湯本駅から車で10分弱の距離にあるらしい。てことで降りたのだがバスは一日数本しかないためタクシーを利用した。因みにだがかの有名なスパリゾートハワイアンズは電車ならこの湯本駅が最寄でこれから向かういわきFCパークの少し先にある。“ハワイ”というくらいだからてっきり海沿いにあると思っていた。それはともかく到着するとまずこのような凝ったデザインの施設がお出迎え。隣にはアンダーアーマーの倉庫もあり、施設内はアンダーアーマーのアウトレットやクリニックなど様々な店舗がある。

 レストランも数軒入っていて、代表シェフ西さんの店もあった。そこで昼食をば。グラウンドは入り口から見て建物の反対側にあり、試合が行われているところだった。

東北の高校新人大会のようで昼食時は丁度青森山田聖和学園の試合。試合後は駐車場で山田の選手にライターが話を聞いている場面にも出くわした。いつも思うが特にユース世代を専門にしてるライターは凄いなと思う。一年中びっしり大会スケジュールが詰まって試合の開催場所もスタジアムだけでなく今日のように練習グラウンドで行われることがむしろ多い。こうしたグラウンドや高校、ユースの拠点を巡って日本全国を飛び回っている訳だから。
 折角なのでアウトレットでいわきFCのタオルハンカチを購入。駐車場もほぼ埋まっていたが、ナンバーを見ると試合を観に来たと思しき地域(宮城など)もあったが半数以上はいわきナンバー、次に福島ナンバーが多かったので地元の人が来ているのだろう。いわきFC自体は今年からJFLでJまであと一歩という段階だが、施設面では既にJ1クラス、いやJ1でも店舗を併設して人を集めているところは札幌くらいだろうか(札幌の場合は石屋製菓の施設の隣に練習場があるといった感じだが)。マリノスタウンもそうだったが今はもう無いしな。このチームのフィジカル強化に重きを置いた方針は全面的に賛同は出来ないが(目指すサッカーがあった上でそれを実現するアジリティ、持久力、パワー等個々の肉体を強化するというなら分かるが、まずフィジカル強化が来るのは違うのでは無いかと)、様々なスタイルを持ったチームがあることが日本のサッカーの強味になっていくとは思っているので今季JFLでどうなるか注目したい。因みにだが今はアンダーアーマーが全面的にバックアップしているが、このフィジカルに重きを置いた方針はライプツィヒザルツブルクレッドブルグループのサッカーと親和性があるので、将来何らかの繋がりが生まれる、かもしれない。というかレッドブルのメソッドを導入したら相乗効果が生まれるんじゃないかと。

 駅までは3km弱といった距離なので帰りは歩き。駅の近くに温泉神社という社があり、参拝して御朱印を拝領。境内にはその名の通り温泉が湧いている。

 「湯本」という名前から分かるようにここは温泉地で、街中や駅のホームに足湯もある。湯本駅からいわき駅に向かった後は駅から10分ほど歩いた場所にある子鍬倉神社を参拝し、ここでも御朱印を拝領した。

 
 いつものように来た道をそのまま帰るのでは無く、今回はバスで郡山に向かい、そこから新幹線で帰るルート。郡山からだと大宮まで1時間ほどで東京までも1時間半程度と近い。東京駅で降りるつもりだったがいわき駅前を歩いている時に友人から誘いがあって上野駅下車に変更し、そのまま飲んで帰宅。