天皇杯決勝 浦和×大分(国立)


 決勝が国立に戻った前々回から何だかんだ観に行っている(前々回は偶然というか友人の好意によるものだったが)。13時前に国立に着くと、外周路にハーレーやスポーツカーが並び、ドライバーが皆サンタやトナカイのコスプレでなかなか壮観だった。
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オレンジリボンと書かれた幟も出ており、児童虐待防止運動キャンペーンを意味することを初めて知ったが、そのイベントだったのかな。

 今日の席は前回と同じくバクスタアウェイ側の3階。違う視点からということで別の席種(特にメイン側や1階、2階席)を狙っていたのだが買えたのはここだった。前回は観客数制限下で自分の座席列には殆ど人がいなかったが、今日はほぼフルハウス。座席の前のスペースが狭いので一旦席に着いたらそう頻繁にトイレや買物に行けないし、人が前を通る時は立たないといけないし、自分が通る時もまた然り。そんなこんなで席に着いた後は動かず試合開始を迎えた。
選手入場時のコレオ

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コレオ(浦和)
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コレオ(大分)

コレオのデザイン(の複雑さ、完成度)はシンプルに場数だなと思う。どのチームも最初はクラブカラー一色だったり、せいぜい縞模様だが、回数を重ねる毎に文字(最初はアルファベットや数字、慣れてくると漢字)や図柄を出せるようになる。その意味で浦和は20年前から埼スタでコレオを出してる訳で、エンブレムぐらい出すのは訳無いか。

 試合は前半早々に浦和が先制し、前半はほぼ浦和ペースでその後もチャンスはあったが、大分の守備に阻まれ追加点ならず。先制こそ許したが大分の守備は準決勝に続き今日も対人の強さ、メンバー間の連携、サポート等素晴らしかった。浦和が追加点取れなかったのも、ユンカーがH・トレヴィザンに上手く抑えられていたのが大きかったかもしれない。
 後半は徐々に大分が浦和陣内に攻める場面が増え始めていく。特に左右のSB、三竿、小出が前半に比べオーバーラップするようになり、周りのサポートもしっかりあるのでゴールエリア内にボールを入れる場面が増えていった。とは言え試合は終盤となり、浦和も宇賀神や槙野を入れて逃げ切りに入っていた89分頃、間接FKから下田のクロスをペレイラが頭で合わせて同点。大分のセットプレーは例え相手ゴールから遠い位置でも何か一工夫あったのだが、この場面では左利きの下田が左サイドから右足でクロスを上げたのが意外で、それが浦和の予測を外した面はあったかもしれない。思えば準決勝の同点ゴールはこの選手が右サイドから左足で上げたボールだった。元々湘南の選手だけど(湘南→川崎を経て大分へ)、ゴールに直結するパスを出す技術だけでなくチームの為に汗をかけるというのはいかにも湘南出身らしさがあるし、今年30歳だが息長く活躍するだろうなと思う。
 これで準決勝と同じ展開が頭を過ぎったが、ATのCKで浦和が勝ち越し。ゴール後にユニを脱いで派手に喜んでるのを見て槙野が決めたんだなと分かったが笑、あのヘッドの前のエリア外からのダイレクトミドルも枠を捉えたいいシュートだった。残り時間を凌いで浦和が優勝。

 これで浦和はレッズとしては4回目。三菱時代を合わせれば8回目となり天皇杯優勝回数最多タイ。Wikipediaだと慶應大の9回が最多という記載だが、これは大学チーム単独や社会人OBチーム、あるいは学生、社会人混成チームを合算したものらしく、当の慶大自身は大学単独での優勝を除いた8回としている。*1
Jリーグが創設されてから約30年経ってようやく日本のトップカテゴリに在籍するチームが歴代優勝回数のトップに並んだ訳か。今回で101回目という歴史有る大会ながら最多優勝回数が二桁に届いてないという点でも日本には(十年単位の)長期に渡って覇権を握るクラブは無く、その群雄割拠ぶりがよく分かる。

 試合後は国立恒例?の遠景写真を。国立と言えば新宿のビル群がよく見えるのは知られているが、渋谷も見えた。渋谷も近年高層ビルが幾つか建っているのでよく目立つ。

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新宿ビル群
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渋谷ビル群

 国立を出た後はホープ軒のラーメンで暖まり、帰宅。

天皇杯準決勝 川崎×大分(等々力)


 リーグ戦が終わったが、週末にサッカーやってれば観に行きたくなるというもの。この準決勝は等々力と埼スタどちらにしようか迷ったが、日曜ということもあって近場で14時から始まる等々力にした。
 この試合はこれまでの上限5千人やスタジアム収容数の50%という縛りが無くなって収容100%でチケットが販売されたのだが、試合開始直前に着くとゲートには長蛇の列。直前でこれほど並んだのは記憶に無いが、今は自由席が無くなって指定席が基本となり、それ故に現地に早く行って良い席を確保する習慣が失われ、観客の到着時刻が試合開始直前に偏るようになった、という側面はあるかもしれない。まさに自分がそうなのだが。

 そんなこともあって開始5分頃に着席。前半、というか試合を通して川崎が優勢だったが、前半は完璧に崩してというより、押し込んで最後はミドルというパターンが多かったな。シュートはどれも枠内だったが、大分GK高木が全てセーブ。以降も川崎のミドルが何度かあったが高木は全て防いでいた。反面、高めのクロスは苦手なのかキャッチし切れず後ろにこぼし、それを詰めたL・ダミアンに狙われるシーンも二度ほどあった。後半も同じ展開だったが高木の好セーブや、CBペレイラを中心にクロスを跳ね返してゴールを割らせず、延長戦へ。
 延長も展開は変わらなかったが、後半半ばに右サイドからのクロスを小林悠が押し込んで川崎がついに先制。高めのクロスは大分守備陣が上手く対応していた中でサイド深くまで侵入してからの低めのクロスという点で勝負あった。これでこのまま川崎が逃げ切るかなと思っていたのだが、ATに大分が同点。右サイド浅い位置から左足のクロスは鋭く、いいボールだなと思った次の瞬間にトレヴィザンのヘッドが決まっていた。後で見返すとクロスを上げたのは下田だったが、去年まで川崎にいた選手。ついでに言えば高木も元川崎だし、そういった因縁というか関係性は試合で出るものだなと。

 試合前は予想してなかったPK戦だったが、これは大分の勝ち抜けあるんじゃないかと思った。追い付いた方(しかも終了間際)が精神的に優位というのもあるし、PK戦前に片野坂さんが笑顔で話すシーンが映像装置に映し出され、その落ち着いた笑みに気持ちの余裕すら感じられたので。
で、結果は↓の通りなのだが、

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PK戦結果

川崎も鄭成龍が、決められたら終わりという大分5人目をセーブするなど活躍し、そう言えばこの天皇杯も長野、千葉とPK戦を勝ち抜いてきたのを思い出した。ただ今日は家長、ダミアンといった普段のPKキッカーが交代でベンチに下がっていたのは影響したかな。最後は7人目山根のキックを高木がセーブして試合終了。
 
 大分は初の決勝進出ということだが、勝てば08年に獲ったナビスコ杯(現ルヴァン杯)と合わせて国内カップ戦制覇になるし、地方クラブとして決勝進出時点で既に偉業。今日はメインスタンドアウェイ寄りの席だったのもあって右隣と後ろが大分サポだったが、同点シーンやPK戦勝利時は心の底から喜びを爆発させてるのが伝わってきて、何だかこちらまで嬉しくなった。特に後ろの2人組は大分から来たようで、遠征先での勝利はまた格別だよなぁと。調べたら羽田-大分便の最終は20時発なので、その便は等々力帰りの人が多かったのかな笑。振り返ると今年等々力には2回行ったが、9月のルヴァン杯準々決勝第2戦は終了間際の槙野のゴールで浦和が勝ち抜け、そして今日の大分と、いずれも川崎がカップ戦で敗退している。厳密にはどちらも記録上は引分けなので負けてはいないのだが、これも何かの巡り合わせか。

J1第38節 横浜M×川崎(日産)


 20チーム38節で開催された今年のJ1も今日で最後。この試合は年チケ保有者に割り当てられた招待券(1枚)を利用し、久々に観戦仲間が集まった。大人6人に子供4人。いつの間にか子供が増えていた、大きくなっていたのにも驚いたが、3人以上で観戦するのは実に一昨年の最終節以来2年振りでもあった。あの優勝を決めた19年のFC東京戦。
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 それこそ2年振りに会う人もいたが、この2020~2021年はコロナ禍によって普段以上に時間の経過が早く感じられるものだと改めて。

 最終節とは言え、優勝と2位は確定しているのだが、この両チームの関係性や1位2位対決という状況から単なる消化試合にはならないだろうという予感はあった。実際開始からマリノスフロンターレが互いに攻め合い、ボールを支配する時間も交互に訪れる拮抗した展開で、前半は各々決定機は一度づつありつつも0-0。
 前節の神戸戦でもそうだったが、マリノスにとって相手の個のレベルが上がると普段はボールを回せる場面で相手のプレスにパスが乱れ、相手陣内に攻め込んでもゴールエリアの周辺でボールを「回させられている」感はあった。たまにパスが通ってシュートチャンスを迎えても相手の寄せが早くGKまで飛ばないシーンが多数。以前今季の中盤メンバーのゴールの少なさを指摘したことがあったが、基本的に相手サイド深くエグッてグラウンダーのクロスを中央で合わせるパターンが主流なので、サイド深くまで到達できないと手詰まりとなってしまう。ここでエリアすぐ外から狙えれば良いのだがそんな選手はいない。喜田や渡辺、扇原も得点力という点では物足りないし、マルコスも最近はPK以外でどれだけ点取っているのだろうかと(記録を見たら今季9ゴール中PKが5ゴールで、PK以外で点を取ったのは8/21仙台戦が最後)。
 そんな中で後半半ばに家長のクロスからL・ダミアンが頭で合わせて川崎が先制。GK高丘からしたら手前で強くバウンドしてタイミングが取りづらいシュートではあった。ただ、その後マリノスは選手交代で恐らくレオセアラ、前田の2トップ、仲川、エウベルがサイドハーフの4-4-2に変更したのだが、これで相手との噛み合わせが良くなってボールが繋がるようになった。そして相手ゴール前中央からのセットプレーでサイドに展開し、クロスを前田が合わせて同点。やはりこの選手が輝くのはこの形なんだな。前半はサイドにいたが正直相手の脅威になっていたとは言い難かった。まぁそれは今日に限らずこれまで全ての試合でそうなのだが。スピードはあるが、サイドで相手陣内深く突破したり中に切り込んでシュートするほど器用な選手では無いのよね。海外移籍の噂もあるが、正直懐疑的なのはこの点で、要はマリノスだから点を取れているのであって、違うチーム、違うサッカーでここまで出来るのかと。まぁポステコグルーのセルティックならスムーズに適応出来そうだが、前田が入りたいポジションには既に古橋がいる。

 同点後はマリノスが攻める展開が続いたが川崎の守備に阻まれ、AT4分は逆に川崎にボールを回されてシュートに持ち込まれるシーンが目立った。そのまま1-1で終了。マリノスとしては対川崎戦の連敗を3で止めた形になったが、ここ最近の力関係だと、5試合対戦してマリノスはどうにか1勝1分(3敗)という分の悪さは感じる。ただ今日の試合はハイレベルで、時間帯によって主導権が変わり、それに対応して再び流れが変わり、とさすがトップ2同士というクオリティだった。来年は両チームともまた違うメンバー、違うサッカーになりそうではあるが。
 
 試合終了後、両チームの選手がハーフラインを挟んで列を作ってるので何かと思ったら、この試合でJの主審を引退する家本さんに向けての花道だった。

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家本主審への花道

 花道を通った後は両チーム主将からユニフォーム(どちらも背番号が516=担当試合数だったのはさすがだなと思ったがw)、ご家族からの花束贈呈があり、最後は両チーム合わせて記念撮影

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家本主審を囲んで記念撮影

その後家本さんは両ゴール裏まで近寄って挨拶して締めとなったが、近年つとにライバル心を高める両チームが主審を介して仲良く記念撮影と言うシーンは胸を打つものがあった。豊スタでの名古屋vs浦和戦では同じように引退する村上主審への花道や胴上げもあったようだし、これからもこんな雰囲気が続くことを願う。まぁ日産、豊スタどちらもタイトルは掛かっておらず、結果も引分けだったのが大きかったかもしれないが。
 いつもこの時期の試合は空気が澄んで特に夕景は美しい。今日もそうだった。こういった風景と試合、そして試合後の様々な出来事が相まって1年の終わりを実感する日。

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日産スタジアムから望む夕景

J1第37節 神戸×横浜M(ノエスタ)

 
 この試合は数ヶ月前から行くつもりだったのだが、当時はマリノスが川崎を猛追していた時期だったから最終節の直接対決前の重要な一戦になりそうという目論見もあった。まぁ結局その後マリノスが息切れして優勝は決まってしまったのだが、今年最後の遠征ということもあって7年振りの神戸、ノエスタは楽しみだった。
 早割で安かったのもあり、今回は往復神戸空港にした。思えば過去神戸に行った時は常に大阪、京都行とセットだったが、ピンポイントで神戸を往復するのは初めてだな。朝7時の便で羽田を出て8時過ぎには到着。三宮へはポートライナーで約20分と近い。ハーバーランドや六甲山は以前行ったことがあるので今回は神社巡りすることにした。まずは三宮から徒歩数分の距離にある生田神社へ

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生田神社

ここから近辺の社を巡ろうと、北野異人館エリアにある天満神社に向かったのだが、地下鉄の新神戸駅で降りた後、布引ロープウェイの案内が目に入って予定変更して山登り。

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布引ロープウェイから望む神戸市街

この眺めだけでも十分だったが山も紅葉で色付いていた。もう11月も終わりなので紅葉の季節なのだが、この在宅勤務メインのご時世だとそうした季節の変化に対する感覚が鈍っている。

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色付く山々

下山後は天満神社を参拝し、そのまま三宮方面へ歩きつつ一宮神社、二宮神社を参拝し、御朱印も拝領。今回の旅程を調べる中で知ったのだが、神戸には神戸八社と呼ばれる、生田神社を囲むように配置された一宮から八宮までの神社がある。神戸中心部の「三宮」という名称も三宮神社があることに由来するという。さすがに今日だけで全ては回れず今回は二宮までとなったが、来年以降少しづつ巡って行きたい。
 丁度昼時となったので南京町で、会社の先輩に教えてもらった店で昼飯を食べて、14時の試合開始までは少し時間があったので湊川神社にも行って13時過ぎにノエスタへ。

 今日のチケを取るにあたり、てっきりいつものJリーグチケットかと思っていたら神戸は楽天チケットで、座席指定出来ずバクスタのホーム寄りになってしまった。チケに限らず7年来ない間にスタジアムはより楽天色、ヴィッセル色が強まった印象。買物は完全キャッシュレスで楽天系の電子マネーを利用するようになっているし、スタジアムの内装も、壁面にクリムゾンレッドが施され、メインスタンドにはVIP向けと思しきラウンジ席も作られていた。
↓の左は2013年6月に行った時の写真(当時神戸はJ2)だが、今日の写真と比較するとメインスタンドアウェイ側中段(写真右手)にガラス張りのラウンジ席が出来ているのが分かる。

 こうした変化は楽天マネーあればこそとは思うが、どのような改善が必要か認識している人が内部いるのもまた事実だと思う。神戸はYouTubeなどメディア関連でも国内外のチームを参考にしているなと感じる。

 ようやく試合についてだが、今日の神戸のスタメンを見てかなりのタレント軍団だなと今更ながら思ってしまった。W杯に出た選手が酒井、山口、大迫、武藤、イニエスタフェルマーレンと6人もいる。今日の試合を見ても、こうしたタレントが局面を打開できることによる強みは確実にあるなと。マリノス視点だと、通常ならボールを奪える場面で大迫や武藤にキープされて自陣深くまで展開されるとか、いつもなら通る縦パスを酒井やフェルマーレンに読まれてカットされるとか、そういった場面で。今日の前田は左サイドだったが、対面の酒井高徳に上手くいなされてもいた。ただロングボールの処理をCBとGKが一瞬お見合いした隙を突いて前田が先制点を取ったのが今日は大きかった。ここ最近のマリノスは東京戦を除いて3点以上取れておらず、先制すれば高確率で勝点3を取れるが、逆に先制されるとそのまま負けることが多い。今日も全体的には神戸がボールを支配する展開だったが、後半半ば以降はカウンターで裏を付けるようになって、終盤に途中出場の仲川が決めて2-0。典型的な最近の勝ちパターンの試合だった。これで2位確定。

 そうそうイニエスタを見るのも去年のスーパー杯以来だったが、マリノスのプレスにボールを奪われるシーンもあったものの、ダブルタッチで狭い局面を平然と突破する技術はさすがだった。神戸の外国人選手と言えばボージャンも見たかったが負傷で欠場、今日は途中からリンコンが出てきたが、何というかあまりに粗削り過ぎるというかトラップが大きくボールを奪われるシーンも多々あり、あまりJリーグ向きではない気もした。Jで活躍するブラジル人はやはりまずボール扱いに優れて独特のプレーリズムを持つ選手で、それ以外だとL・ダミアン、パトリック、J・サントス、かつてのフッキ、ジョーみたいな相手を吹っ飛ばすほどの強さも備える選手。

 試合後は神戸のセレモニーがあるとのことだったが帰りの便まであまり時間も無かったので退出し、近隣の和田神社、三石神社に参拝後は三宮で土産など買って空港へ。この時点で25,000歩以上歩いて座ったらそのまま寝そうなほどだったが、神戸を満喫できた。いよいよ来週でリーグ戦も終わりか。

J1第36節 浦和×横浜M(埼スタ)


 埼スタは先月以来となるが、Jでは去年2月のスーパー杯、浦和の試合となると2年前のACL決勝以来か。スーパー杯の時は既に新型コロナウイルスという存在は認知されていたが未だ従来通りの観戦スタイルだったので、もはや遠い昔の様に感じる。そもそも今日の自分のチケ自体が「ワクチン・検査パッケージ」という当時は存在しなかった種別だった。また今日の両チームを見ても特に浦和は2年前から人もサッカーも大きく変わり、今季を以て阿部が引退、槙野、宇賀神は契約満了と来季も変化は続く。浦和は新監督を迎えて新しいサッカーに取り組み、シーズンが始まっても補強で監督の志向に合う選手を少しづつ集めている点が18年のポステコグルー初年度のマリノスに似ていて気になっている。春先に対戦した時はまだチーム作りの途上といった感じでマリノスが3-0で完勝したのだが、その後国内外から新戦力が加わって徐々に監督のサッカーも浸透してきた中でどうなるのかというのが興味のポイントだった。
 序盤の10分程はマリノスが完全に押し込む展開が続いたのだが、決定機は生まれず。ここ最近前半は低調、後半巻き返すパターンだったが前節で何かが変わったのだろうか笑。ただ半ば頃には浦和もカウンターでマリノス陣内に入るシーンが出始め、そしてセットプレーから先制。これで更に浦和は持ち直した形になって前半が終わった。
 後半は開始早々カウンターから浦和が流れるようなパス回しから最後は田中が流し込んで2点目。その後はマリノスがまた押し始め、特に終盤15分はかなり押し込みレオセアラが1点返して2点目のチャンスも十分にあったが最後は浦和の守備陣が踏ん張ってそのまま1-2で試合終了。マリノス埼スタのレッズ戦は相性が良い印象だったが、敗れたのは2015年以来らしい。

 今日以外の試合を含め、R・ロドリゲスのサッカーを表現するなら「手堅いポゼッション」「究極のバランス志向」とでも言うべき独特のスタイル。最終ラインから個々の位置取りを決めて丁寧にボールを繋いでいく、と書くと19年マリノス、あるいは近年の川崎やかつてのG大阪、磐田の様なサッカーを想像するが、実際は守備時はしっかり引いてブロックを作り、後ろのスペースを空けてまで前輪駆動で攻めたりはしない。かといって攻撃が個人任せかというと必ずしもそうではなく、今日の2点目の様に複数人が絡む見事な連携も見せる。
 という感じなので相手を押し込んで大量点を奪うよりかは、リスクマネジメントしつつ結果的に今日のような2-1などロースコアでしっかり勝っていくことを目指しているように見える。まぁこのサッカーに限らず上位を狙うためには、守備、中盤、前で軸となる選手は必要だとは思う。マリノスもチアゴ(と畠中)いてこその今のサッカーでもあるし。その意味で今日の浦和のスタメンは守備はシュルツが纏めていたが、中盤から前は試合をコントロールするには経験の浅いメンバーが多かったかな。FWはユンカーが軸だとは思うが、中盤にも阿部の様な技術とキャプテンシーを持った選手が1人要るようにも。因みに今日後ろに座っていたレッズサポ中年男性2人組からは平野への駄目出しが多く聞こえてきた苦笑。

 マリノスについて。序盤、終盤に押し込んで2点目を取れなかったのは不運な面もあったが、9/11広島戦(○3-1)以降、前節を除いてリーグ戦で3点以上取れた試合が無いのも事実。ここ最近見ていて思うのは相手陣内ゴールライン際は埋められてなかなか侵入出来ない中で、より浅い位置からのクロスが増えているなと。今冬の選手のin/outにも依るが、前田が移籍したら前線は空中戦に強いタイプを置いてのクロス攻撃がメインになるような気もする。その場合は杉本は完全移籍となるだろう。ポステコグルー時代の積み上げでボール回しはスムーズだが、現監督の志向とは微妙に異なる故のゴールの少なさという気もする。暫定松永氏やマスカット就任当初は大量得点で勝っていたのに、よりマスカット色が出始めると今の状況となり負けも増えていった。来季に向けては浦和同様軸となるタレントが必要と思うが、それはまた追々。

 14時開始だったので終了時は陽が傾いて良い雰囲気だった。

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試合終了後の埼スタコンコースより

 こうした光景を見る度に、秋の深まりとシーズンも終盤なのを実感する。

J1第35節 横浜M×FC東京(日産)


 前節から3日後に再び日産にて。前回の観戦記の最後にこの試合がまず重要とは書いたがこの結果はさすがに予想出来ない。この両チームは丁度18年にポステコグルー、長谷川両監督が就任したということもあってスタイルを含め何かと比較しやすいのだが、対戦すると基本的にはマリノスがボールを支配しFC東京がカウンターという展開になる。以下の対戦結果からも分かるように、最初は東京のカウンターが効果的に効いてマリノスは大量失点を喫することも多かったが、ここ最近は逆にマリノスが大差で勝つようになっている。マリノスもこの4年の間、選手の入れ替わりは激しく単純にチームが成熟したとも言い切れないので、これはむしろ東京側が19年6月頃の久保がいた頃をピークとして徐々に下降線を描いているとも言える。
マリノスから見た18年以降のリーグでの対戦結果

2018/07/22 A● 2 - 5
2018/11/03 H● 0 - 1
2019/06/29 A● 2 - 4
2019/12/07 H○ 3 - 0
2020/07/12 H● 1 - 3
2020/10/24 A○ 4 - 0
2021/05/01 A○ 3 - 0

 今日の8ゴールを振り返っても、マリノスがここ最近の試合と比較して特別優れていた、良かったというのはあまり無いんだよな。森重が退場する前から東京は最終ラインからまともにボールを繋げていなかったし、どうにかして前のレアンドロやディエゴにボールを渡してそこから独力で何とかして貰うサッカーは変わらず。そういう中でGKとCBが足を引っ張れば試合は壊れるよなぁと。前田の先制点は一度セーブしたもののこぼれて再び前田の足下に渡ってしまった不運と言えなくもないが(だが例えば前節対戦した東口ならしっかりキャッチするなり最低限CKにしていただろう)、小池の1点目、前田の3点目はクロスに被り、小池の2点目は飛び出しが遅れて落ち着いて横パスされ、水沼のミドルもニアを抜かれたもの。ちょっとJ1ではキツいレベルだった。また2本与えたPKはいずれも森重のファールだが、1本目はともかく1枚黄紙を貰っている中で再びエリア内でファール(CKでマークしていたチアゴを引き倒す)するのはベテランのプレーでは無かった。勿論マリノスも前半半ばで早くも3-0として緊張が取れ、前半の内に相手が1人少なくなって気負わずプレー出来たのも大きかったと思うが、相手の状況含む様々な要因が重なっての今日のスコアなんだろうなと。因みに8-0というのは自分のマリノス戦観戦史上最多得点タイ記録で、8点差は最多記録。
■個人的マリノス戦得点差記録

1位 2021/11/06 H vsFC東京○8-0(日産)J1
2位 2007/08/07 H vs横浜FC○8-1(日産)J1
3位 2004/05/05 H vsビンディン○6-0(横浜国際※)ACL
※2004年はまだネーミングライツ

 今日のマリノスで目を引いたのは右SB小池。GKのミスもあったが2ゴールで今季リーグ4点。マリノスのSBは中に絞るなどサイドを上下動するだけではないので、通常のSBよりゴールに近い場所に位置取れる面はあるが、2点目で猛然と相手ゴール前に走り込んだプレーを観ると、点を取るのは相応の理由があるなと。FW含め点を取る選手はしっかり相手ゴール前、エリア内に走り込んでいるというのは当たり前ではあるが、それをしっかり出来る選手は意外に多くない。前回の観戦記で書いた中盤のゴールの少なさと合わせて色々考えさせられた。

 これでACL出場権確定。リーグは残り浦和、神戸、川崎と上位勢なので相手のサッカー含めどうなるか楽しみ。

J1第34節 横浜M×G大阪(日産)


 34節と言えば通常なら最終節だが今期は20チームなので更に4試合ある。マリノスは33節終えて川崎と勝点12差となり、今節川崎より獲得勝点が少ないと川崎の優勝が決まる。思えば19年はリーグ戦ラスト7試合を全勝で駆け抜けて優勝した訳だが、今年は特にここ5試合はそういった勢いは感じられず、前田のワンタッチゴール、杉本健勇のヘッド、後はPKやセットプレーで何点か、と得点パターンも限られつつあるし、相手の攻撃陣にJの平均レベルを越えたタレントがいる場合(名古屋シュヴィルツォク、横浜FCサウロ・ミネイロC大阪乾など)がいればしっかり仕事をされている。

 という中で今日は文化の日だったのだが、数年前まで毎年この日はナビスコ杯決勝で、今も祝日故にリーグ戦が組まれるので、言わば自分にとって“観戦の特異日”でもある。丁度1年前は今日と同じ日産で鹿島戦だった。
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 思えば1年前の今頃も感染者数は収束し、収容人員やアルコール販売など条件が緩和された時期だった。当時はこのまま来年(21年)はいつもの観戦に戻ることを期待していたが、今年は変異株で前年以上の感染者数を出し、それが1年経ってようやくまた落ち着いたという状態。ワクチン接種の進展など去年と異なる点もあるが、これから冬を迎えることもあるし、去年ほどの楽観的な予想は控えておく。

 このコロナ禍は観戦にも色々(負の)影響を与えているが、全席指定化によって家を出る時間が遅くて済むようにはなった。今日は13時開始なので、19年以前のように自由席なら10時頃に列整理で10時半入場、つまり10時前にスタジアムに着くために8時台に家を出る必要があったが、今日は余裕を持たせつつ10時過ぎに出発。そして菊名で下車して坂道を上り、篠原八幡神社に参拝した。

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篠原八幡神社

御朱印を集めるようになって各地の寺社に関心を持つようになったが、闇雲に回るのでは無く、家の近所とか旅先、近隣のよく行くエリアなど何かしら縁を感じる場所を中心に参拝している。ここも新横浜に近い社ということで。菊名駅から歩いたが、場所は新横浜駅の裏手にある。参拝後は↓の様な道を通って新横浜駅へ。

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横浜駅の裏手

新横浜から歩いて数分の場所だが、ここもずっと変わらんな。市のHPによると再開発組合が近年結成されたようなので*1相鉄線が直通したら変わっていくのかな。

 と試合までにかなり長くなってしまった。試合前の予想としてはガンバはキム・ヨングォン、昌子不在のCBということで点は取れそうと思いつつ、宇佐美、パトリック、井手口、倉田とタレントの質は高いので、前述の最近の傾向然りで、マリノスゴール前で良い形でボールを持たせたら一発食らう懸念はあった。前半はここ最近に比べれば幾分かマシな内容だったと思う。東口を脅かすほどではないが、少なくともミドルを打って攻撃は終わっていたので。まぁそのミドルも扇原のがバーをかすめたぐらいで殆ど宇宙開発コース。2年前からそうだが、今のマリノスは得点力を前線に依存しており、今季リーグ戦での中盤の得点数は天野3、和田1、喜田、扇原、岩田、渡辺に至ってはノーゴールという状況。相手にエリア内を固められたらその打開策の1つとしてエリア外からミドルがあれば少しは変わると思うのだが・・。
 前半は停滞して後半選手交代で巻き返すのもここ最近の傾向なので、札幌戦みたいな展開かなと思いつつの後半だったが、開始10分頃に左クロスを倉田に決められて先制を許した。試合を通して決定機はこれだけだったが、そこで決めるのがさすが代表経験者だし、先に書いたように相手のタレントを抑えきれず仕事をさせてしまう現状が出たゴールだった。その後は選手交代でガンバを押し込み、東口が見送るようなポストをかすめる惜しいシュートも何度かあったのだが、ことごとく決まらず。先制された後だったか、ガンバ守備陣の裏に抜け出てボールを収めようとしたレオセアラが芝に足を取られて転倒というシーンがあったが、それ以降何か嫌な予感のする展開ではあった。
 ただ杉本健勇がCKをニアで合わせて僅かに枠を逸れたシュートを観て、この選手の強みがようやく分かった気がした。これまで浦和でもセレッソでも何でも出来て得点パターンも多彩な万能型FWを目指しているように見受けられたが、マリノスでのゴールは全て頭。クロスに空中で相手DFに競り勝って合わせるヘッドこそがこの選手の強みなんだなと。レンタルなので来季どうなるか分からないが、クロスの得意な選手やパターンを組み込めば、しっかり結果を出すのではないかと思う。前田も去年は特に目立った実績は無かったが、強み(スピード、運動量)を活かすポジションや動きを覚えたことで今季の活躍がある訳だし。

 試合はそのまま終盤となり、同時刻開始の等々力の試合は終盤に浦和が追い付いたという情報が入り、その時は一瞬、終了間際にマリノスが追い付いて可能性を次節以降に残し、そしてここからドラマが始まる、とか妄想したりもしたのだが、AT5分も上手く守られてそのまま0-1で終わった。
 これで2位以下が決まったが、3位神戸とも残り4試合で8差とは言え直接対決を残しており、残る試合も東京、浦和、川崎と難敵揃いなのでまだ2位は確実とは言えない。3日後にまた同じ場所で東京戦なので、この試合がまず重要だな。