J1第1節 横浜M×C大阪(日産)


 昨日に続いて今日はマリノスホーム開幕戦。去年は行けなかったので2年振りか。新横浜駅に着いて、駅ビルの本屋で今年の年鑑(コンパクト版)を購入して日産スタジアムへ。
 マリノスはスタメンに新戦力無しの手堅い布陣だったが、前半はボールを支配して相手ゴールに近づくものの、キム・ジンヒョンを脅かす様な決定機はあまり無かった。むしろセレッソが乾や清武のキープ力や、逆サイドへの大きな展開で攻め込んだ場面が印象深い。去年もそうだったが、今のマリノスのサッカーだと、各ポジション、各局面で一定の想定がなされてそれを組織的に抑えることで試合を優位に運ぶのだが、相手に想定を越えるスキルを持つ選手がいるとボールを獲るはずの場面で獲りきれずキープされてチャンスメイクされたりする。今日の相手だと乾、清武はまさにそうで、特に清武はキープ力含め素晴らしかったな。そんな展開で前半終盤にCKから進藤がファーで合わせてセレッソが先制。

 後半はマリノスがギアチェンジして攻め込む場面が増え、PKも奪取。しかしマルコスのキックはキム・ジンヒョンに防がれた。防がれたから言う訳では無いが、マルコスはここ2年ほどPKキッカーで一定のゴール数ではあるが、PK以外であまり点を取っておらず、そこが気になるんだよな。マンCで言うならデブルイネの役割だと思うが、19年の加入初年度(リーグ15ゴール)のインパクトが年々薄れているようにも。
 PKは防がれたものの相手陣内でボールは回っており、後半半ばにエウベル、A・ロペスを投入するとそれは加速された。そしてA・ロペスが1G1Aで逆転。この時はこのまま終了、もしくは追加点で3-1、という展開が頭を過ぎっていた。しかしAT突入直前のCKから清武が決めて2-2。ATは5分あったがそのまま試合終了。

 振り返るとセレッソは良いキッカーが揃ってたなと。上記の清武、乾以外にもCKを蹴って2アシストの原川、左足なら丸橋など。前半には丸橋の巻く様なクロスからFW加藤が中央で合わせた場面もあった(オフサイド)。またアウェイで守備に重心を置きつつセットプレーで先制し、それを守り切れず逆転されたら普通はそのまま押し切られる中で、終盤にマリノス陣内に攻め込んだ(そしてCKから同点に繋げた)マインドチェンジは小菊監督の指導力やベテランの経験あってこそという感もある。
 マリノスは後半開始から30分位は理想の展開だった。思うにスタメンの中央レオ・セアラ、右サイド水沼はワンセットであくまでオプションであり、後半途中から入ったエウベル、A・ロペスの方が今後のレギュラーに近いかな。特にA・ロペスは試合中観戦仲間からのメッセージにもあったがJ・サントスに似た理不尽系FWの予感がする笑。

 まぁともあれこれで今季も開幕と。年末にW杯がある関係で日程は過密で来週水曜には川崎戦といきなりヤマ場だったりするが、昨日の試合を観た限りは結構良い試合するんじゃ無いかと。勝点3も十分狙えるというか。

J1第1節 川崎×FC東京(等々力)


 今日は早く上がれたので金曜という事もあり等々力へ。武蔵小杉で夕飯食ってからということで駅からバスに乗ろうとしたが、18時過ぎ時点でシャトルバスはかなり並んでいたので路線バスに変更。等々力周辺を通る路線は多く、また途中のバス停も2~3程度なのでシャトルバスとあまり変わらない。18:50頃着席。開幕戦のゲストということで純烈が来ていたが、正直ここ数年、年間で唯一視る歌番組が紅白という状態なので、紅白でよく見る人達だなという印象しか無いのだが苦笑、メインスタンドの端の方にはファン?と思われる人達の一角があったりもした。そう言えばいつも開始は19:03~4頃のはずが入場まで少し間が空き、最後は19:05頃に主審が円陣を組んでいる東京を急かしてすぐに始まった。

 序盤はほぼ川崎ペース。特に左サイドのマルシーニョを上手く使って左サイドを突破してクロスorシュートというパターンが何度かあったがそこは東京守備陣が中央で体を張って防いでいた。改めてメンバーを見たが東京はまずスヴォビィクの加入はデカい。前回このチームを観たのは日産のマリノス戦だったので、余計にそう感じる。キックは多少怪しいところはあったが、しっかりシュートを止められるGKがいるだけでチームはかなり引き締まる。
 両チーム共コロナの影響で本来出ていたであろう選手が不在だった影響はあるだろうが、松木のスタメンにも驚いた。思えば前回の観戦は先月の選手権決勝だった訳で、それから約1ヶ月で今度はプロの試合ということか。まだ周囲の連携がそれほど出来てないのもあるだろうし、序盤のファーストタッチ?の時に複数の川崎の選手にがっつり寄せられてボールを失ったがその後は少しづつ試合に絡む様になり、1本強烈なシュートもあった。交代時はアウェイサポから大きな拍手が送られていた。

 と言う中で試合は前半半ば頃から東京が良い形でボールを奪って川崎ゴール前に到達するシーンが増えていった。上記松木のシュート以外にもレアンドロなど幾つか枠内シュート有り。後半もボールを保持するのはどちらかと言えば東京で、川崎はボールを奪っても攻撃が単発で終わったり、シュートまで持ち込めないシーンが目立った。見ていて中盤のバランスがいまいちだったかなと。大島、脇坂、チャナティップと並べていたが、個々の場面ではマークの外し方やトラップなど上手かったが、チームとしては、という。その意味で橘田の欠場は先日のスーパー杯に続いて痛手だったであろうと同時にこの選手がもはやチームに不可欠な存在なんだろうなと。
 後半半ば以降は東京が明らかに優勢でレアンドロがGKと1対1のシーンまであったのだがゴールは奪えず、そんな中で終盤にCKからL・ダミアンがニアで合わせて川崎先制。まぁこれはダミアンの上手さが勝った形だったな。その後はAT7分含め東京が押しまくったのだが、ポスト直撃シュートもありつつ最後まで点が取れず、1-0で川崎が勝利。

 全体を通しても押していたのは東京だったし、4年前、ポステコグルーが就任した年の開幕セレッソ戦(アウェイ)と似た、明らかにそれまでと違うサッカーで期待感を抱かせる内容だった。ただこのサッカーは物にするまで時間が掛かるし(特に最終ラインのバランス)、各ポジション適した選手をテストし、場合によっては夏に補強し、しばらくは我慢の時期が続くことにもなると思う。当分はレアンドロやD・オリヴェイラの個の能力で勝点を稼ぐ試合が多そう。けど長友(後半途中出場)が右サイドやや内側に位置取りして大外に紺野や三田を張らせてチャンスを作り出すシーンなど見ていると、この大ベテランに新たな役割を与えて機能させた指導力は凄いなと思う。
 川崎は主力が数名欠場とは言え、内容悪いながらの勝点3はさすがだったが、一定期間覇権を握るチームがその勝負強さばかり目立つ様になると、サイクルの終わりが近いことを感じさせる。岡田時代のマリノス、00年代中盤の浦和、10年代前半の広島など、数年間勝ち続けたチームはどこも最後はこういった勝負強さや守備の時間が目立って内容や攻撃面のインパクトが薄れていった印象。強いことには変わりないが、他チームとの差は確実に縮まっているのかなと。しかもこれから2/23水Aマリノス→2/26土A鹿島→3/2水H浦和となかなか厳しい日程。

 という感じだったが本当に面白い試合だった。明日もそうなることを願いつつ。

高校選手権 決勝 大津×青森山田(国立)


 9年振りに選手権の決勝を観に行った。前回は鵬翔と京都橘というカードで雪で順延された試合で、京都橘には仙頭(名古屋)、小屋松(柏)がいた。国立はスタジアムそのものに対しては色々突っ込み所は多いが、アクセス面では(都心かつ複数の駅から徒歩圏内という点で)日本最高クラスなのは間違いない。埼スタ開催時は足が遠のいていたが、今年は行ってみようかなと。過去の新国立観戦経験を踏まえ、これまでと違ったアングルと言うことで2階席、そして座席の前後間隔の狭さを考慮して通路側の席を確保した。実際現地に着いたのは開始直後だったので、通路側で正解だった。

 試合は序盤から青森山田が押しつつも大津が踏ん張る展開。大津はプレミアウエスト4位と、これは高体連では青森山田(プレミアイースト優勝)に次ぐ成績、つまりこの決勝は文字通り今年度の高体連トップ2チームによる戦いだった訳だが、大津は相手ゴールエリア手前辺りまではボールを運べるが、そこからなかなかシュートに結び付かず。山田の寄せの速さや激しさにボールを繋げなくなるシーンも多かった。そんな中で前半残り10分を切ってから青森山田が立て続けに点を取って2-0。先制はCKからだったが、押し込みながらなかなか点が取れない時にセットプレーで点が取れるのは大きい。ただ過去の選手権決勝では2点差からの大逆転試合もあったし(まさに一昨年静学が青森山田を逆転したように)、青森山田優勢とは言え流れはどこで変わるか分からないと思いつつハーフタイムへ。
 
 ハーフタイムはトイレがてら2階を少し歩いてみた。今日の席には階段で上がりスタンド中段の出入口から入ったが、上段にはコンコースもあり、使用されていなかったがラウンジ席も備えられていた。

f:id:barcaw:20220110160638j:plain
ラウンジ席(2階)

 ボックス席やペアシートならともかく、こういったラウンジ席で試合を観るイメージはあまり湧かないが。飲食店が併設されて試合前後やハーフタイムの溜まり場的スペースというのならまだしも。

 後半も前半と同じ展開で、開始10分頃に青森山田が追加点を挙げて、これで勝負あったかなと。さすがに3点差はキツい。大津も中盤にはボール扱いの上手い選手がいるのだが相手の寄せになかなかゴール前までボールを運べない。CFの9番はかなり長身(調べたら191cmあるらしい)で序盤は空中戦に勝つシーンも見られたが、徐々にボールに絡めなくなってしまった。空中戦と言えば青森山田のヘディングは、どの選手もジャンプした最高到達点で合わせており、これは普段から意識してるんだろうなと。ジャンプしても体が伸びきっていればヘッドもただボールに当てるだけになってコントロール出来ないが、そこもしっかり体勢を整えていた。その後は青森山田が中盤でボールを奪ってカウンターでチャンスというシーンが続き、半ば過ぎには4点目も入ってそのまま試合終了。青森山田が3年振りの優勝。

 1/2の阪南大高校戦は手堅く勝ったとは言え阪南大のチャンスもそれなりにあった中での今日の圧倒的な内容。恐らく最初から準決勝、決勝にピークを合わせてたんだろうな。それは過去2年連続決勝で敗れたのを踏まえてのものだったかもしれない。大津も今日では無くもっと早い段階で当たっていれば内容も変わったかもしれないが、コンディション100%ではなくともしっかり勝ち、ここぞと言うときにはフルパワーで相手を圧する青森山田が強者だった。
 今後も青森山田がU18年代の強豪の一角ではあるのは間違いないだろうけど、今年度のような3冠となると、ベースとなる戦い方にタレントの質も必要になるので、来年度はどうなるか分からない。特に今日のスタメン、控えに下級生は2年生が2人いただけ。それだけ3年生の力があったということだろうけど、3年で選手が入れ替わる環境で毎年力を維持するのは大変なこと。加えてこのサッカーに勝つにはどうしたらいいか日本中のチームが考えている訳で、それが結果的に(激しいプレスにも動じず技術を出せるタレントなど)選手の育成にも寄与するのだろう。
 タレントと言えば青森山田にはプロに行く選手が2人いるが、前新潟アルベルが就任したFC東京ポポヴィッチの町田とどちらもボールを大事にするサッカーなので、繋ぐよりも長いボール中心に堅く戦う青森山田のサッカーで育った2人がどうなるのかは興味深い。

 帰りは久々に外苑前駅経由で。次の観戦は来月だな。オミクロン株の感染拡大でまた緊急事態宣言となることのないように。過去の例を見ても1月中にピークアウトするのではないかと思うのだが・・。
 

高校選手権3回戦(駒沢)


 明けましておめでとうございます。今年の観戦始めは選手権から。2年振りに有観客となったが年末にチケットサイトを見ると開催都県の地元校や有力校の試合は軒並み完売しており、青森山田が勝ち進んでいるであろう1/2駒沢をどうにかゲット。席割を見ると一般販売されるのは国立の準決勝、決勝以外はメインスタンドのみで、そら完売するわなと。ここは去年ルヴァン杯で来ているが、選手権では何と12年振りであった。12時少し前に現地に着くと入場列が続いていたが開始直後に着席。1席置きの配置ではあったがメインスタンドはほぼ埋まっていた。

f:id:barcaw:20220102134313j:plain
メインスタンド

阪南大高×青森山田
 青森山田見たさにチケを買ったのだが、阪南大は1回戦でFW鈴木が6点と攻撃が爆発し、またリーグ戦でもプリンス関西で2位、プレミア昇格POでは最後敗れたがかなり力のあるチームなんだろうなと察せられ、実はなかなかの好カードなのではないかと。そんな期待をしつつ試合が始まった。
 序盤は阪南大がやや押し気味。鈴木はどんな選手か注目していたのだが、長身細身でボールタッチが柔らかく、ポストも上手いという点で大迫に似た印象。経歴観たらガンバJrユース出身なのか。ただ前半15分に青森山田の右クロスに阪南大DFがOGしてしてしまい、そこからは青森山田が主導権を握る展開。前半終わり頃には阪南大のポスト直撃シュートもあったものの1-0の青森山田リードで折り返し。
 後半もボール支配は阪南大だがなかなか決定機とまではいかず、逆に青森山田がセットプレーとカウンターで追加点を挙げて試合をほぼ決めてしまった。阪南大は鈴木が1点返すが1-3で試合終了。
 青森山田は「令和版の“高校サッカー”」という印象。今はサッカーそのものに高校、ユースの違いは以前ほど無く、特に高校はより繋ぐ志向が強まっている印象なのだが、青森山田は細かく繋ぐより長いパス主体で、攻守に粘り強く激しい。その上で個々の力は高く、セットプレーもデザインされてるので今日のように要所で点を取って勝つ強さがあるのかなと。過去帝京や市立船橋、国見といった高校チームが90年代に見せてきたサッカーの進化版という感じ。個々のタレントで言うと注目の松木は得点力が評判なのでトップ下なのかと思っていたが、それよりもやや下がり目の位置に見えた。FC東京入りが決まった当初は正直長谷川氏のままなら若手にとってあまり良い選択とは言えないと思っていたが、新潟からアルベルを招聘したのは大きいかもしれない。新潟のサッカー(そして基本原則は同じマリノスやマンCも)では中盤は高いボールキープ力やパスセンスは必須で、特に前寄りの選手は得点力も求められる(去年の新潟なら高木、マリノスならマルコス、マンCだとデブルイネ等)。そして中盤は3枚が多く、そこで機能することも重要。なので、磨き方次第ではこの得点力と一定の走力、守備力も備えたプレースタイルはハマるかも。

 ↑の写真の通り、このスタジアムのメインスタンドは陽が当たらないのでハーフタイムや試合の合間はコンコースに出て暖まる。飲食の売店は出ておらず再入場も出来ないのでこうでもしないととても2試合は観れない。

f:id:barcaw:20220102134930j:plain
メインスタンドコンコース

■東山×長崎総科大付属
 U18年代のリーグ戦が定着すると共に、選手権で観るチームもどのリーグカテゴリか確認するようになったのだが、この第2試合は東山は京都府、長崎総科大付属は長崎県と、どちらも都道府県リーグ所属。長崎総科大は3年前の選手権で観たが、東山は初めて。試合は序盤から東山が押し気味に進める展開。長崎総科大はいつも通り寄せの速さや運動力、ロングパスでサイドに展開してからのクロスや突破で攻めるのだが、東山は技術で優位に立つ上に、フィジカルでも当たり負けせず、ボールを相手ゴールまで進めてチャンスを作り出す。前半に先制すると後半にも2点追加して3-0の完勝。次は青森山田ということで夏の高校総体と同じ状況らしい(準々決勝で青森山田と対戦し、この時は2-5で敗戦)。リーグカテゴリだとプレミアと都道府県で2つ離れているが、1発勝負のカップ戦でもあるので勝機はありそう。
 第1試合で青森山田を令和版の“高校サッカー”と書いたが、長崎総科大は平成の高校サッカーという印象ではあった。観ていて90年代後半のドイツ代表と被るんだよな。「走って戦うのが売りと思われていたチームだが、実は技術の高い選手がしっかり戦っていたからこその結果であり、そうした選手が引退して本当に走って戦うだけになったら勝てなくなった」という点で。長崎県ではVファーレンU18がプリンス九州で優勝と力を付けており、タレント発掘の面で今後は厳しいかもしれない。

 選手権を2試合連続観たのは久々。かなり冷えたので帰りにラーメン、うどん等汁物を入れて暖まりたかったが、渋谷に出ても殆ど店は開いておらず、開いてたゴーゴーカレーを食って帰宅。

年間表彰2021(後編)

 昨日書いたように、本日は年間MVPを発表。例年通り自分を含め計40名の選考者により決定したが、今年は友人達に加えて某SNSのフォロワーさん達にもご協力頂いた。相互フォローしてる方々の中には様々なチームのサポだったり見識の深い方が多く、選考者になって貰えれば、この表彰の精度というか信頼性も更に上がるのではないかなと。この表彰は元々日本版のバロンドールをイメージして始めたものだが、本家バロンドールの方が近年怪しい選考が続く中で、これは正真正銘ガチであると同時に、私情やネタもありつつの絶妙なバランスの取れた選考になっていると思う。

【選考方法】
各投票者はベスト5選び、1位:5pt〜5位:1ptとポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。なおこのルールはベスト5のみ適用し、6位以下でポイントが同じ場合は全て同順位と扱う。

【過去の受賞者】
f:id:barcaw:20211228035555p:plain

それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で表記。なお所属は2021年に在籍したクラブ。
第5位
伊東 純也(ヘンク):37pt
 5位はIJこと伊東純也。「(代表の)11月シリーズ2連勝の立役者」であり「崖っぷちの日本代表に希望を繋いだ選手」と代表での活躍が記憶に新しいが「アタッカーで自クラブと代表ともに結果を出し」、「所属クラブでもA代表でも替えの効かないエースに成長」とクラブでの活躍も見逃せない。特に欧州組は秋春制で1年の間にシーズンが変わるので春秋制のJよりもこの1年継続して活躍するハードルが高く、新シーズンにレギュラーを失ったりする選手もいる中で安定して結果を残し、またタイトルも獲った(2020-21ベルギー杯優勝)。「今の森保ジャパンの攻撃において最も計算できる選手(たまに「戦術=伊東純也」)」であり「この選手抜きにW杯出場権獲得は考えられない。」。
 今回の投票で面白かったのは上位5名で唯一この選手への1位票が無かったこと。特に2位票が多く、自分も2位に入れたのだが(投票結果は↓で公開)、「安定感ある活躍だけど1位という程でも無い」という絶妙な判断が選考者の共通認識だった、のだろうか。

第4位
吉田 麻也(サンプドリア):39pt
 「前回の五輪とは比較にならない安定感」あるプレーもさることながらこの選手の場合「五輪4位、最終予選の現在2位。両方とも精神的な柱として麻也の存在が大きい」し、「ピッチ外でもサッカー界のリーダーとも思える発信が多く頼もしい。」一方で「色々な意味で日本を背負いすぎた男」でもあり「東京オリンピック、最終予選で見せたリーダーシップは、企業人として本当に刺激を受けた」という声もあった。自分の選考の話をしてしまうと、最初別の選手を入れてたのだが、やはりあの五輪や最終予選で見せたキャプテンシーを考えると外せないと思い、3位に入れた。代表キャプテンは長谷部→麻也と完璧に継承されたよなぁ。「強いキャプテンシーで来年W杯に連れてって欲しい。

第3位
前田 大然(横浜M):71pt
 「ワンタッチゴーラーとして覚醒」し得点王に輝いた前田が3位。「終戦のゴールは執念を感じた」し「海外挑戦からの出戻りでこの結果を叩き出したのは単純にすごい。」また「代表で見てみたかったなー」「アタマからとは言わないけど、途中から出てきたらイヤな選手だと思うんで是非観てみたい」と代表での活躍を期待する声も多かった。
 この選手は足は速いけど正直器用ではないのでサイドに置いてもドリブルしてカットインからクロスorシュートみたいなことは出来ない。要はボールタッチが少ないほど輝く選手なのだが、それを逆手に取ってワンタッチゴーラー&前線で「年間スプリント数更新」するほどのチェイシングに特化して覚醒させた指導に脱帽だわ。これはポステコグルー、あるいコーチの功績だろうか。プレー以外でも「アナウンサーが必ずフルネーム呼びになるのは何故なのか」、「アウォーズの和装も良かった」というコメント。前田姓は中村、久保と並んでサッカー選手ぽい響きがある。

第2位
古橋 享梧(神戸→セルティック):94pt
 「前半は神戸で、後半はセルティックで目に見える結果」を残した古橋が2位。「Jリーグも半分までしかいなかったのに得点ランク3位という偉業!」だが、J1での15ゴール、スコットランドプレミアでの8ゴール、その他カップ戦や代表戦を合わせた計35ゴールは今年の日本人最多ではないかと思う。この選手に対するコメントは大きく分けて2つあり、まずは「全盛期の佐藤寿人」、「裏の取り方、マジうまい!」、「動き出しとシュートまでの動きが秀逸」、「ボール持ってる時だけじゃなく、試合中の動きを2階席から観てみたい」という動きの質の高さ。本人の努力も勿論だが、イニエスタやサンペールが完璧なタイミングでパスを出してくれる環境も大きかったと思う。そういった環境だからこそ味方を信じてスペースに走る動きが身に付いたのだろうし。もう1つは「岐阜サポの誇り。」、「彼の今までのキャリアも、いわゆる叩き上げという積み方で、これから多くの選手に夢を与えることになるのでは?」というそのキャリアについて。年代別代表経験の無い選手がJ2で台頭しJ1クラブ(上位下位問わず)に引き抜かれるのは今や当たり前になったが、この選手はその代表例であり、現時点で最大の成功例ではないかと思う。
 因みにこの選手には27名が票を入れたのだが、これは今回得票した選手で最多だった。

2021年日本最優秀選手
冨安 健洋(ボローニャアーセナル):102pt

 当blogが選定する今年の日本最優秀選手は冨安に決定。票を入れたのは25名と古橋を下回ったが、1位票は13名と古橋の5名を大きく上回った(前田、麻也も同じく1位票は5名)。選考理由は「年間を通してクラブ(しかもビッグクラブ)・代表ともに活躍」もうこれに尽きる。伊東のそれを更にスケールアップさせた活躍とでも言うか。何と言っても「名門アーセナルのレギュラーはスゴイ」、「ビッククラブでのレギュラー定着しちゃうのは誰が見てもすごいの一言」、「まさかプレミアの名門でレギュラーを張る日本人が現れるとは」、「リーグ(プレミア)、ビッグクラブ(アーセナル)、ポジション(DF)。日本人にとって前人未到の山への挑戦で、即レギュラー確保しての堂々としたプレーぶりは快挙」。去年の投票では4位でその時に「麻也がサウサンプトンに行ったから、それ以上(四大リーグ欧州カップ常連チーム)は行けると思ってる」と書いたのだが1年足らずで実現。しかも当時想定していたのはエバートンウエストハム、レスター辺りのクラブだった。そしてこの選手はまだ若く伸び代がある。今回のMVPは去年の三笘と並ぶ最年少受賞だが「とても23歳とは思えない」というコメントもあった。麻也が同じ年齢の時はオランダでようやくレギュラーを掴んだ段階だったし、中澤はまだマリノス移籍前でヴェルディ所属、闘莉王は水戸から浦和に移籍した頃。そう考えるとこれからどこまで高みに達するのか、期待せずにいられない。
 唯一五輪では「怪我で吉田&遠藤をローテーションで休ませる事が出来なかった」し、「フル活動できず板倉を中盤に回せずを疲弊させてしまったのが残念」ではあった。プレミアの激しさを考えると怪我だけには気を付けて欲しい。

全順位は以下の画像を参照。
f:id:barcaw:20211230044320p:plain

以下雑感を箇条書きに。
・IJと2pt差での6位は遠藤航だった。「リーグ、A代表、五輪、リーグと休む間もなく動き続けたデュエルモンスター」であり「相手潰してゴリゴリとボール運べるプレーは頼もしい」。「五輪を延期しても上回る人がいなかった、というより遠藤の成長の方が大きかったという感じ」というコメントもあるように、ここ数年プレーの凄味が加速度的に増していると同時にリーダーとして発信力も高まっている印象。↑で代表キャプテンについて書いたが、麻也の次はこの選手ではないかと。自分も当初は5位以内に入れていたのだが、先ほど書いたように吉田麻也を入れたかったのと、五輪の3決はさすがに疲労が隠せずPKを取られるなど精彩を欠いたのが思い出されて選外とした。今年フル稼働した分、来年反動が来ないか、それが心配。

・毎年意外な選手に票が入り、コメントを通じてその活躍振りやプレースタイルなど色々教えて貰うことが多い。特に去年得票した江坂(柏→浦和)、坂元(C大阪)、稲垣(名古屋)は今年初めて代表に選ばれ、この投票の信頼性を改めて実証笑。
 そんな訳で今年票を得た選手の中では
明本考浩(浦和)
シーズン通じて、インサイドハーフ、FW、左サイドバックと複数のポジションをこなす万能振りを発揮。高い戦術理解もさることながら、90分アップダウン繰り返せるスタミナもあり、長友に替わって代表でも観てみたいと思った。
金子拓郎(札幌)
大卒Jリーガーの可能性を世の中に地味に伝える存在
加藤陸次樹(C大阪
セレッソの時代を担うストライカー。来年はたぶん爆発する。大迫の次の代表FWは加藤。
 J2からのステップアップと大卒ルーキーというのはある意味今のJのトレンドを象徴しているかもしれない。来季の活躍次第だが、来年7月には国内組主体のEAFF選手権が予定されているので、3人ともそこで選ばれる可能性は十分にある。

・ポジション別に言うとGKで得票したのは谷(湘南)のみだった。「五輪4位&湘南残留の貢献度。ハイボールに対する安定感は素晴らしいの一言。湘南の残留は彼無しでは語れない」が一方で「(五輪)準決の失点シーンはコーチングで防げたように思うのでドンピシャの東京世代だったらなぁと」(注:谷は2000年生まれで東京五輪世代の中では年少組)とのコメントも有り。まぁでも近年若いGK台頭著しい中でJ1でレギュラーを守り通したのはこの選手と沖(鹿島)くらい。五輪後はA代表にも選ばれたが今の代表レギュラー権田が絶対的守護神かと言われれば疑問だし「来年カタールW杯で先発しててもおかしくない」。南アW杯直前に楢﨑→川島という交代が起こった事例もある。

・この投票恒例?の選手、監督以外への投票
影山 優佳(日向坂46)
今年内田篤人選手にクロスを習っていた時のキックを見ると明らかに俺よりうまい。ここまできたらもはや突き抜けてほしいと思うが、J2あたりの選手と結婚するのはやめてほしい(ファン目線)。
最近知ったのだがこの子某国立の進学高出身で東大目指してたのか。何故アイドルやってるのだろうか笑。DAZNの番組ではアイドル、アシスタントという立場上控え目なスタンスを崩してないが、そのリミットを外して語らせたら相当熱いと思う。
家本政明(主審)
あれだけド下手なレフリーがここまで愛される審判になって、目頭が熱くなりました。今までお疲れさまでした。
最終節試合後の花道は本当にいいシーンだった。この人のジャッジの変遷を見ていると、勿論本人も変わっていったことは素晴らしいのだが、見ている方も伝聞や過去の姿を引き摺るのではなく今の姿を見て自分で判断することの大切さを教わった様に思う。

・引退選手への惜別票も恒例となったが今年はこの選手に対して
大久保嘉人C大阪
どんどん同世代が引退していくのは寂しいけれど、お疲れ様の気持ちを込めて。
マイヒーロー。最後にセレッソに戻ってきてくれたこと、心から感謝
あとにも先にも、引退会見で自分のプレースタイルで謝罪したのはこの人だけではないだろうか。(中略)これだけのクラブを渡り歩いた選手だ。きっといい指導者になるはず。それよりなにより、彼が引退すると聞いた時、アテネ五輪の予選を思い出した。青春時代の終幕を感じた。
個人的にこの選手で印象に残っているのはアテネ五輪最終予選のレバノン戦。日本ラウンドの初戦でまさかの敗戦、次のこの試合は先制するもミスで追い付かれ、嫌な雰囲気が国立に漂った、まさにその時に勝ち越しとなるヘッドを決めた。丁度ホームゴール裏で観ていた自分にとって目の前で決まったゴールだった。他にも南アW杯での献身的な活躍や川崎での点取り屋としての覚醒など他にも様々な顔があるが、今でもこの五輪予選が忘れられない。J1で200ゴール、更に言えば釜本の日本リーグ202ゴールも越えて欲しかったのだが、FWがこの年まで一線でプレーし結果を残すこと(今季J1で6点)自体が凄いこと。お疲れさまでした。

・この投票者にはマリサポ多めにつき毎年マリノスの選手に一定の票が入るが、今回最多得票は小池喜田。特に小池は「右、左問わず、運動量がありサボらない」献身性とチャンスにはしっかり前に走り込んで点に絡む積極的な姿勢が印象深い。マリノスは中盤の得点力が極端に低いが、その中でリーグ戦ではMF陣を上回る4ゴール。やっぱ点を取る選手は相手ゴール近くにいるものだと、この選手を見ていると痛感する。

・J2最多票はヴェルディの佐藤凌我ヴェルディサポである選考者氏のコメントが熱かったので全文引用させて頂く。「今シーズン明治大学から加入したルーキー。開幕スタメンはなりませんでしたが、チームが中々勝ててない時にスタメンで出るとゴールという結果を残し、その後の試合もスタメンで出場する時期も多々。そして、何よりルーキーながらヴェルディ唯一全試合出場を記録。前プレを怠ることもなく、スタメンで出ればほぼゴールという結果を残す私の推し。J1チームに引っこ抜かれるかと思いましたが、来年もヴェルディでプレーする事が決定。来年は開幕からスタメンで出て、今年以上のゴール数をクリアして、是が非でも凌我くんと一緒にJ1に行きたい。最後に…マジでイケメンです。皆さん、そこも注目です。必ず見てください。

・得票した最年長は例年通り?カズ。監督で得票した秋田、名波より年上って。「存在しているだけで凄い」、「やっぱり、カズは外せない」、「こうなったら何処のチームでも頑張れるところまで頑張って欲しい」と、もはや全てを超越した存在になっている。
 最年少は久保(2001年6月生まれ)ではなく同年12月生まれの山本理仁(東京V)。調べて気付いたが先に述べた影山も同い年なのか(5月生まれ)。因みに西尾(セレッソ)も同学年。これもヴェルディサポ某氏からのコメント→「自分の得意なポジションで出る機会が中々なかったですが、出てる時は良いプレーのイメージが多い1人。最後の方は優平が怪我で出れない所をボランチで出場し、左足からパスを色んなところへ展開してるのを観て面白いな〜と思いました。そろそろ、ヴェルディ下部組織を狙うマリノスさんが獲るんじゃないんですかね?笑まぁ、いずれJ1に行く選手だと思うので要チェックです。
・・・まぁ最近はマリノスのスタメンでヴェルディユース出身がマリノスユース出身より多いことすらあるしな。

・最後に今回初めて選考者別投票一覧を掲載。名前は伏せているが、上から回答が来た順に並べている。因みに1番上は私の投票で、2番目、つまり最も早く回答してくれたのは実は毎年同じ某友人。今年は依頼から3時間半後に回答が来た笑。このリストを見ると分かるが、選考者間で示し合わせてなどいないのに、急に(それまで得票の無かった)特定の選手に票が集まったりするのが毎年集計していて面白い。
f:id:barcaw:20211230054938p:plain

 と言う訳で今年は去年より文字数が増えてしまった。毎年書いているが、この結果はその年の日本サッカーを反映したものなので、後年振り返る時に役に立つ、はず。投票に協力頂いた皆さんには心より感謝を申し上げたい。それでは良いお年を。

年間表彰2021(前編)

 今年も残り2日ということで日本サッカー年間表彰をば。例年通りMVPは後編として明日発表予定で、今日はそれ以外の部門を。

■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合
f:id:barcaw:20211228032107p:plain
1位:韓国戦(○3-0/2021.3.25/親善試合@横浜)
 試合の重要度では最終予選>親善試合だし、10月のW杯予選豪州戦と非常に迷った。豪州戦は確かに予選の転機になり得る価値はあったと思うが、内容的には勢いで押し切った面も否めず、ということで3月の日韓戦を。この試合は森保さんの下では18年ウルグアイ戦と並ぶベストマッチだと思う。韓国は孫興慜ら主力海外組はいなかったが、DFは元々国内組主体だったし、走力だけで技術や判断力が追い付いてない選手が目立った。かつてほどJに行く若手がいない影響もあるのだろう。育成を外注してきたツケというか。
 この試合の遠藤航&守田のボランチコンビは守備強度は勿論、前線への走り込みやパスも含めて近年屈指のコンビになり得る期待があった。2人とも守備のイメージが強いが、遠藤は浦和時代はむしろ3バックの中央からの正確なフィードが売りだったし、守田も実はトラップ、パスの技術は非常に高い。それだけに最終予選序盤が悔やまれるが。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合
f:id:barcaw:20211228032236p:plain
1位:オマーン戦(●0-1/2021.9.17/W杯最終予選@吹田)
 今年の敗戦は2試合だが、ワーストはこの試合一択。どんな試合でも局面を切り取れば評価出来る点はあるものだし、新戦力の代表デビューなどプレー以外の評価要素もあったりするが、それすら見出し難い試合であった。監督の問題もあるとは思うが、前回の最終予選でも9月の初戦はホームで敗れており、欧州組が主体となった今、現地のシーズンが始まったばかりのこの月の試合は長距離移動の負荷を含めコンディション的に苦戦する構造的な問題があることが明らかになった。上記ベストマッチに選んだ韓国戦では国内からも多くの選手が初招集されて海外組と融合が図られ、それは6月の試合でも同様で、チームに刺激を与える意味で良い試みだなと思っていたところにこの試合はいつものメンバーで臨み、ご覧の有様という。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール
f:id:barcaw:20211228032348p:plain
1位:田中碧(豪州戦先制点)
2位:浅野(U-24日本戦3点目)
3位:山根(韓国戦先制点)
4位:伊東ベトナム戦先制点)
5位:稲垣(モンゴル戦14点目)
 去年はゴール数が少なく(セットプレーからのヘッドとPKのみ)、選考しなかったので2年振りに表彰。試合の重要度やゴールに至る過程を考えると1位は豪州戦の先制ゴールかなと。サウジに敗れ追い込まれた中での布陣変更、その試合で前半で先制出来たのは本当に大きかった。埼スタまで観に行って開始には間に合わなかったが、着席して数分後にこのゴールを観れたというのも加点要素(笑)また左サイド南野からのクロスを後ろから飛び出した田中が受けて冷静に決めるというのも中盤3枚、3トップにした効果がよく出ていた。
 2位以下は個人的に好きな形を中心に。2位はゴールそのものよりもカウンターであっという間に相手陣内に入った速さとスムーズな連携から。特に伊東純也がボールを持って相手に付かれながらもドリブルするかと思いきやオーバーラップした小川にパス、小川はフリーでクロスを上げることが出来た。伊東は今年重要なゴールも数多く決めているし、さすがベルギー強豪でレギュラー張るだけはあるプレーだったが、この状況判断の良さが欧州に行って最も伸びた点ではないかと思う。3位は山根にアシストした大迫のヒールパス込みで。山根もこの試合が代表デビューとは思えない積極的なプレーぶりだった。4位は2位と同じく縦に速い攻撃だが、この次のオマーン戦然り433にしてからクロスに逆サイドの選手が飛び込む場面が増えたなと。5位は正直10点ゲームのモンゴル、ミャンマー戦は相手の守備レベルの低さによるゴールが多かったとは思うが、稲垣の自身2点目のミドルは腰を上手く捻ってゴール上隅に入れたのが上手かったので選出。

■最優秀若手選手(U-20)
※対象は2001/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者
f:id:barcaw:20211228032614p:plain
1位:荒木 遼太郎(鹿島)
2位:久保 健英(ビジャレアルマジョルカ
3位:田中 聡(湘南)
 海外でプレーし、五輪代表の実績もある久保と迷ったが、クラブではあまり輝いていない1年だったし、10代でJ1の試合に出るだけで無く二桁ゴール決めた価値を考慮して荒木を1位に。3位は湘南の田中で。今季はマリノス戦で春と秋の2試合観たが、春の試合では3バックの左、秋には中盤でプレーし、技術の正確さと判断の速さが印象的だった。遠藤航、齊藤未月と続く湘南アカデミー出身の中盤の系譜を継ぐ選手。直接海外か国内かは分からないが、近い将来ステップアップするはず。
 ここ最近の若手海外移籍ラッシュを反映してか、20歳前後でJの試合に出る選手が増えており、選考も非常に迷った。他に中野(鳥栖)、松岡(鳥栖→清水)、藤田(徳島→来季マリノス)らもいるし、J2にも半田(山形)、植中(長崎)など主力として結果を出している選手が多数。この世代は来年本格始動するパリ五輪世代で、東京世代以上のタレント集団ではないかと思っているので期待している。過去の小野伸二宇佐美貴史然り、1人突出したタレントがいる世代は全体的に層が厚い印象がある。突き抜けたタレントがいるから層が厚いのか、逆に層が厚い故にトップタレントのレベルも高いのか、どちらなのかという話でもあるが。その両方か。

■最優秀監督
※過去の受賞者
f:id:barcaw:20211228032629p:plain
1位:長谷部(福岡)
2位:鬼木(川崎)
3位:伊藤(甲府
4位:鈴木(磐田)
5位:松田(長崎)
 例年通りこの部門の趣旨を述べると、タイトルを獲った監督だけでなく、手持ちの戦力に比べて好結果、内容を残した監督を評価する、というもの。鬼木氏は今季連覇を達成しただけでなく、主力の移籍や過密日程、または海外遠征から帰国後の隔離期間もありながら、終盤に再加速してマリノスを引き離した戦い振りは素晴らしかったが、今年は福岡を8位に導いて昇格のジンクスも破り、川崎に初黒星も付けた長谷部氏で。福岡は二桁ゴールの選手がいない中で決めるべき時決めて手堅く2-1、1-0で勝点を積んだ印象。
 他にJ1日本人監督というと三浦アツ氏は確かにリーグ戦3位はクラブ史上最高成績だが、イニエスタヴェルマーレン、S・サンペール、山口、酒井高徳がいて、古橋が移籍しても大迫と武藤を獲れるチームと言う点を考慮するとカップタイトルを1つくらい獲らないと割に合わない気が。また鹿島の相馬氏も4位とは言えあまり伸び代を感じさせない戦い振りだったが故の退任だったと思うし、9位FC東京長谷川氏、11位広島JFK氏も共に中位に停滞したまま途中退任という点で厳しかった。その他ルヴァン杯準優勝のセレッソ小菊氏、天皇杯準優勝の片野坂氏も、リーグ戦では小菊氏は5勝7敗、片野坂氏も18位降格ということで、上位5人は厳しいかなと。特に片野坂氏は天皇杯の記憶も新しいので非常に迷ったが・・。
 ということで3位以降はJ2から選出。その中で甲府を昇格争いに絡む3位に引き上げた伊藤氏は戦力を考えれば優勝した磐田の鈴木氏以上なのではないかと。その伊藤氏は磐田に引き抜かれたので来季J1でどういうサッカーを見せてくれるのか楽しみ。
 5位は長崎に途中就任して4位に導いた松田氏で。就任した13節以降はリーグ戦19勝7分4敗の勝点64。同期間(13~42節)で比較すると、これは磐田(勝点69)に次ぎ、京都(58)、甲府(61)を上回る。
 こうして5人見てみると、前々から唱えている日本サッカー指導者3大集団
マツダ~広島系統(森保、高木、小林、片野坂、松田、森山 等)
住友金属~鹿島系統(鬼木、相馬、手倉森、関塚、石井、大岩 等)
桐蔭学園OB李国秀門下生(長谷部、渡邉晋森岡、戸田)
が1人ずつランクイン。この冬の監督、コーチの移籍を見ていると、上記に属さない人々、特に若い世代の指導者が徐々に台頭しているようにも。

 後編は大晦日の正午頃に発表予定。

2021年の観戦振り返り

 例年、年間表彰の後に観戦を振り返る流れだが、表彰の方は現在まだ集計、執筆中につき今年はこちらを先に。
2021年観戦数:29試合
 去年は23試合だったので6試合増だが、2年前までの年間40試合前後という水準には至っていない。この差はマリノスのホーム戦にあまり行けなかった影響だな。2年前まではリーグ戦ホーム、少なくとも土日開催なら皆勤だったが、去年、今年と収容5000人下では気付いたらチケ完売ということが多かった。その代わりという訳では無いが、例年以上に遠地アウェイ戦に行った気がする。今年行ったのは札幌、鹿島、湘南、浦和、神戸。マリノス戦に限れば札幌は13年振り、鹿島は6年振り、神戸は7年振り。緊急事態宣言も複数回発令される中で、感染者数が減少し宣言が解除され、入場要件が緩和されたタイミングを見計らっての旅だった(一方で9月のアウェイ名古屋戦は宣言延長で断念)。
 未踏スタジアム制覇行も継続し、GWに宮崎のユニスタ、7月には遂に日韓W杯日本会場最後の未踏地宮城スタジアムへ。宮スタは五輪の無観客圧力で福島が有観客撤回するなど最後まで実現可否が危ぶまれたが、よく決断してくれたと思う。まぁ実際に現地に行ってみると、五輪と同日に仙台市内で楽天と野球日本代表の試合が万単位の客を入れて開催されており、無観客を主張する人々の根拠の無さやその政治性が明らかになったのだが。

■ベストゲーム
改めてここでの“ベスト”の定義を述べておくと、両チームがお互いに持ち味を高いレベルで出し合う試合となり、一方的に凹すような試合は対象としない。
過去の受賞試合
f:id:barcaw:20211229013207p:plain
1位:横浜M1-1川崎(2021/12/4 J1第38節@日産)
barcaw.hatenablog.com
 今年観たJの試合では最もハイレベルな試合だった。1位2位対決なのである意味当然ではあるが、お互いに相手を牽制しつつ自分達の良さも出し、相手に流れが傾いても選手交代で引き戻し、と最後の瞬間まで目が離せない展開。引分けという結果、L・ダミアン、前田がそれぞれゴールして両人とも得点王となり、試合後の家本主審への花道や両チーム揃っての集合写真撮影も含め、ホーム、アウェイ関係無くあの場にいた全ての人が幸せになる試合でもあった。

2位:浦和2-1大分(2021/12/19 天皇杯決勝@国立)
barcaw.hatenablog.com
 準決勝と迷ったが終了間際に大分が追い付くもその直後に浦和が勝ち越し、しかも決めたのは退団が決まっている槙野という劇的な展開、そして57000人の大観衆と両チームのコレオという最高の雰囲気を加味して。思えば前回の決勝は今年の元日だったから、1年で2回決勝を観たことになる訳か。

3位:日本2-1オーストラリア(2021/10/12 カタールW杯最終予選@埼スタ
barcaw.hatenablog.com
 A代表戦は4年振りだったがこれが予選の転換点になるのを感じさせる試合だった、という意味で貴重な試合を観たのではないかと思う。やっぱ予選のホーム側では終盤に重要なゴールが決まるよなぁ。あのOGの時、昔観たドイツW杯予選を思い出した。

4位:オランダ3-3ブラジル(2021/7/24 東京五輪女子サッカーGL@宮スタ)
barcaw.hatenablog.com
 この前の試合(中国vsザンビア)も4-4という打ち合いだったが、この試合はまずそのレベルの高さに驚いた。お互い確固たるスタイルがあって、相手守備の稚拙さではなく意図した攻撃で崩した得点が多く、女子サッカーのレベルが上がっていることを実感する試合だった。特にオランダは両翼の7番と11番がサイドを攻略し、中央で構える9番がフィニッシャー、10番はその周りを動きながらチャンスメイクという点で男子と全く変わらんなと。 

5位:町田3-3長崎(2021/9/18 J2第30節@野津田)
barcaw.hatenablog.com
 行くつもりだった豊田の名古屋戦が緊急事態宣言延長で行けなくなり、代わりに近隣の試合ということで&バクスタ増築した野津田を観に行ったのだが、磐田、京都を追うJ2上位同士に相応しい試合だった。1-3から町田が追い付き、更に終了間際にも決定機を迎え、そのまま逆転してもおかしくなかった。その他甲府、新潟もそうだが、もし今年昇格プレーオフがあったら史上最高にスリリングかつ予測不能でハイレベルな試合が続いていたことだろう。

今回改め過去の試合も振り返ってみたがマリノスvsフロンターレが多いな(笑)それだけのレベルとパッションが詰まったカードということなのだろう。

■ベストゴール
過去の受賞ゴール
f:id:barcaw:20211229013400p:plain
1位:オナイウ(2021/4/16 J1第10節 札幌1-3横浜M@札幌ドーム)
youtu.be
 マリノスのゴールはほぼサイドを崩してクロス→中央で合わせるというもの。従ってゴールに至るまでの組み立てや連携などは素晴らしいがゴールそのものは同じパターンが多い。その中でこのゴールは右サイドに流れた天野がターンで相手をかわし、左足アウトでクロスという点で印象深い。アウェイで0-1から終盤に追い付き、逆転する口火を切ったゴールというのも価値があった。

2位:上田(2021/5/15 J1第14節 鹿島5-3横浜M@カシマ)
youtu.be
 飛び出したGK高丘がトラップミスしたのを奪って無人のゴールに流し込み、と書くと簡単そうに聞こえるが、チアゴがカバーに入っている中でカーブを掛けて触れないようなシュートを打つ技術と判断力が素晴らしかった。

3位:エウベル(2021/4/3 J1第7節 横浜M1-1湘南@日産)
www.youtube.com
 前田の落としをダイレクトでゴール隅を正確に捉えたゴラッソ。この選手はウイングというよりサイドにいるチャンスメーカーという感じだったな。序盤はあまりフィットしてなかったが、この試合辺りから徐々に活躍するようになった。

4位:伊藤(2021/11/20 J1第36節 浦和2-1横浜M埼スタ
youtu.be
 これはカウンターから流れるような連携でのゴール。こういう時に後ろから何人も走り込んだり、パスに無駄が無い(ボールを持ってから周りを見てパスの出しどころを考えるような選手がいない)のはそれだけチームとして組織立っているということだろうし、R・ロドリゲスの指導力も感じさせる。

5位:ヤンセン(2021/7/24 東京五輪女子サッカーGL オランダ3-3ブラジル@宮スタ)
sports.nhk.or.jp
動画1:49:30頃より
 オランダが2-3とリードされた終盤の同点FKだが、結構距離があったのでさすがに厳しいだろうと思ったら、という。
 
 これ以外で敢えて挙げるとすれば札幌戦の杉本健勇の同点ヘッドかな。ゴールそのものはクロスに合わせたシンプルな形だが、この選手はマリノス加入後こうした頭で決めるゴールが殆ど。オナイウや前田然り、ここ数年マリノスはアタッカーの特長、強みを活かしてきたのを考えれば、逆説的にこの選手の強みは空中戦の強さなんだなと。これまでは何でも出来る万能FWになろうとして空回っていた印象だが、こうして自分の強みに磨きを掛ければJ1で十分戦える選手と思うのだが。

■ベスト遠征
過去の受賞遠征
f:id:barcaw:20211229013551p:plain
こうした過去の結果を振り返ると初期は「遠征」の定義がかなり適当だったのに気付かされるが、今は「東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県以外で開催される試合」としている。その中でGWにユニスタに行った旅は、鹿児島で友人に薩摩半島を案内して貰い、宮崎では車で宮崎市街、青島神社鵜戸神宮など色々巡って最後に観戦という、我ながら完璧な旅程だった。
宮崎2-1今治(2021/5/2 J3第7節 @ユニリーバスタジアム新富)
barcaw.hatenablog.com

 来年も引き続き未踏スタジアムを巡りたいが、特に長野Uスタジアムは行ってみたいし、専スタでは無いが岡山、山口も2020年GWに行くはずがコロナで断念したリベンジという意味で是非。また広島ビッグアーチも新スタジアム建設予定地見学を兼ねて10年振りに行ってみたい。岡山→広島→山口と山陽道を順番に巡れる試合日程を組んでくれないかな(笑)ともあれ来年は最初から収容100%で開催とのことだが、声出しの解禁も期待しつつまずは観戦の振り返りをば。